【読書メモ】うまくはやく書ける文章術(山口拓朗著 日本実業出版社)

文章術の本をたくさん出している山口拓朗さんの新刊を読んでみました。「」というと、修飾語は被修飾語の近くに置く、といったテクニックが満載かと言うイメージがありましたが、本書では、そうしたテクニックよりも「何を書けばいいかわからない」という書き始めるまでの大きな壁を超えるための手法が示されています。
著者が強調されているのは、「アンテナを張って情報収集をすること」と「読者への貢献を意識して文章を書く」という2点です。そして、本書の冒頭に示される「文章の目的」を意識することが、その前提になるものです。忘れないうちに本書のエッセンスをまとめておきます。

文章作成は疑問からはじまる

文章を作成するときには、たいてい【疑問】→【調査】→【理解】という流れがあって、ようやく最後に文章を書くことになります。つまり、まず「なぜ?(Why)」がなければ始まらない。著者の言葉で言うと、文章作成とは「読む人の疑問に答えていく作業」であり、その作業の賜物が読者に喜んでもらう「貢献の文章」になるわけです。

あっち情報とこっち情報を整理する

あっち情報とは:自分以外のところにある情報(周辺情報)
こっち情報とは:自分の中にある情報(自分情報)

客観と主観ということですね。説得力があって、かつオリジナリティも備える文章にはこの両方が必要です。僕の場合、文章に主観が少ないことは自覚していますが、なかなか自分の言葉で書くことが難しく、説明文に終始してしまいます。

この問題に対するヒントとして、第6章の「正しいことを書こうとしない」にコレだ!という部分がありましたので引用します。

自分の言葉で書けない人の中には、そもそも自分の気持ちにブレーキをかけてしまっている人もいます。こういう人たちに共通しているマインドが以下の2つです。

1. 正しいことを書けなくてはいけない
2.自分の感想や意見を書いてはいけない

…中略…自分を支配するマインドの存在を自覚した上で、その一切合切を手放さなければなりません。そうでなければ、一生涯、以下のようなプロセスで文章を書き続けることになってしまいます。

●映画『スター・ウォーズ』を鑑賞→おもしろくなかった→でも、世の中で人気があるから「まあまあ面白かった」と書く。

僕の場合もここまで極端ではありませんが、世間の価値観に迎合しているところは否めません。こうなってしまう一つの要因は「バカと思われたくないから無難なことを書く」ことがあるように思います。この問題を突破するに必要なものは、「勇気」と「何のために書くかという目的の認識」なのでしょう。このことを自分の中でハッキリさせることができただけでも本書を読んだ価値は十分ありました。

自分の体験、感情・考えを棚卸しする

前述の通り、僕の場合、あっち情報よりも「こっち情報」の方が問題です。文章作成のネタとして重要なことが自身の体験(特に失敗体験)であって、さらに読者に「響く文章」にするためには感情・考えを加えることが重要です。

そのためには、文章を書く前に体験(失敗体験以外にも成功体験、感動体験、苦しかった体験…などなど)と感情・考え(どんな感情を味わったか、どんなことを考えたか)を棚卸しする作業が必要です。著者は、棚卸しの際、メモを活用し8つくらい書き出すことを勧めています。

書く前の準備に力を入れる

書くための情報が集まってもすぐ書き始めるのではなく、以下の「書く前の8つの準備」を行ってから書く作業に入らなければうまい文章(=目的を達成できる文章)は書けません。

この1〜8のプロセスでは、1から3までは必ず順に行い、その後はランダムでもよいそうです。

  1. 読者ターゲットを明確に
  2. 読者ターゲットのニーズを把握する
  3. 文章の目的を明確にする
  4. 読者の反応を決める
  5. メッセージを1つに絞る
  6. 文章の切り口を工夫する
  7. 文章のレベルを決める
  8. 文章のテイストを決める

特に刺さったのが3で 上司に提出する企画書の目的→企画の概要を伝える、ではまだまだ踏み込みが浅く、「おもしろい企画じゃないか!」と即、採用してもらうところまでイメージしなければ文章の質が高まらない、と主張されています。

まとめ

文章を書く前の準備を適当にしていると、うまい文章(=目的を達成できる文章)は書けないということがよく分かりました。今まで、文章を作成する時は、まずWordを立ち上げ思いつくままにベタ打ちして、そこから体裁を修正するようなやり方をしていましたが、その前に文章の設計図とでもいうものを作らなければならなかったんですね。うまい文章を書けずに悩んでいる方には一読をオススメします。

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