Day43 つかの間の安心

8時前に宿を出て(まだ開いていなかったが)村外れの検問を越え500mくらい進んだ道沿いでヒッチ開始。今日はどんよりした曇りで寒い。いつ雨が降ってもおかしくないような天気なので何とかして降られる前に車を捕まえたい。
車を待って20分ほどでサガ行ミニバスが来る。これを停め、22道班までの値段交渉をするが人の足元を見て100元と吹っかけてきた。向こうは全く値を下げる気がなかったので交渉決裂。100km先のところまで行くのに100元払うか、このブター[:怒りマーク:]

今まで見たところ四駆はツアーグループか公安の車であることが多かったので停めるのを敬遠していたが、車を選んでいる余裕もなくなってきたので片っ端から来た車は停めることにする。すると、最初に来た四駆が停まってくれた。20〜30台の漢族が4人乗っている。ツォチェンに行きたいと告げると、向こうからアリへ行くのか?と聞いてきた。おぉ、これは願ってもない話。リーチ一発ツモの期待を秘めつつ慎重に交渉。向こうの提示はアリまで500元。これならまぁいいかという金額だったが、400元にしてくれと頼んでみる。
「450元だ」
「400で何とかして…」
「乗れ!」

やったぁ!3日目にして毎朝のヒッチから解放され、後はアリまで一気にいける。しかも四駆だ。兄ちゃんたちの気が変わらないよう機嫌をとっていれば大丈夫だろう[:楽しい:]
車に乗ってしばらくするとやはり雨が降ってきた。外気温は5℃。いやー、この車に乗れて本当にラッキーだった。このところ毎晩雨が降っているので道は非常に悪い。桑桑を出てから2時間ほどは泥んこの悪路が続く。川を渡ることも数回あった。四駆なのでかなり安心して乗っていられたが、ぬかるみにはまったトラックもあり、たまにヒヤッとさせられた。西へ進むにつれ雨量が少なくなるようで川沿いの道を離れるとだいぶいい道になってきた。アリへ向かう道が北回りと南回りに分かれる22道班で昼食。ここの検問所もなくなっていた。昨年の情報だと北回りを行けばこの後検問はないということだったので一安心だ。

食後、22道班を出て北回りルートに入る。今日の目的地ツォチェンまでは約240km。天気は相変わらずさえないが、雨はあがっていたし、道もしっかりしている。分岐を過ぎてすぐ数頭のガゼルを見ることができた。アフリカ以外でもガゼルがいるんだなぁ。そういえば、ダライ・ラマの自伝でも昔はガゼルをたくさん見ることができたと書いてあった。今は相当数も減っているのだろう。現に今日はこの後ガゼルを見かけることはなかった。20分くらい北上したところに間欠泉があり、白い湯気がたっている。その先、湖沿いの道をしばらく進み、高度を上げていく。完全な大草原で民家はもちろん遊牧民すらほとんど見かけない。峠は標高5000mを超え外気温は3℃にまで下がった。さすがに四駆は力強くダート道を60km/hくらい出して進んでいく。

午後5時頃、最後の峠を越え、眼下にツォチェンの町が見えてきたとき、車が停まった。ヤバイ、検問だ。ドライバーと助手席の兄ちゃん2人が免許証等を持って降りる。小屋の中に公安がいるらしい。窓口で何か話していたら、小屋から公安が出てきた。身分証のチェックさえなければ大丈夫だ、平静を装いつつ心の中で無事に抜けられることを祈る。が、祈りもむなしく

身分証を見せろ![:冷や汗:]

あぁ、最悪。外国人とばれたらどうなるのだろう?そもそも現在ここは外国人非解放ゾーンなのだろうか、それすら分からない。公安が覗きこんできたので意を決してしれっとパスポートを見せる。すると、外国人が乗っていたのかみたいなことを言って怒り出し、僕とドライバーは小屋の中へ連れて行かれた。そこで、どこから来たのかなどいくつか質問を受け、答えるとパスポートの内容を備付の外国人登記書に転記した。そして、意外とあっさりパスポートを返してくれた。どうやら罰金や拘留にはならないようだ。あとは専らドライバーに対していろいろ注意していたが、彼に対しても処罰はなかったようだ。これで解放してもらい車へ戻り再出発。5分ほどでツォチェンの町に着いた。公安には見つかったものの何のお咎めもなくすんで不幸中の幸いといったところか、などど思っていたらドライバーが「公安からこの車は旅行(業務用の)車ではないのに外国人を乗せたといって注意をされた。悪いけど明日以降はもう乗せてやれない。」と告げた。

えぇ〜ここまでなの[:びっくり:]

超ショック。この車だったらあさってには何の苦労もなくアリに着いていただろうに…。しかし、彼らを責めるわけにもいかない。アリまでの距離と今日進んだ距離を勘案して120元を払う。200元だ!などと言われ少しもめたが、向こうにも申し訳ないという気持ちがあったのか折れてくれた。
15元の宿に入ってから町を少し歩いてみる。北の端にチベタンエリアがあってチョルテンやマニ塚がある。明日のヒッチのためアリ方面へ向かう道路を確認しておきたかったがよく分からない。そのうちまた雨が降り出したので宿に入る。最後に大ドンデン返しの1日だった。ヒッチは何が起こるか分からない。ま、360km前進と前向きに考えよう。

今日の移動距離…360km
今日の待ち時間…30分

本日の1曲 Enrique Igresias「One night stand」

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