Day47 チベタンテントでお茶

塩湖は幹線道路から離れていて町の出口が複数あるので出発前のトラックと交渉すべくいつもより早く7:20頃宿を出る。まだ月が高く、はっきり言って夜だ。歩き出すとすぐどこからともなく犬が吠え出し、その声が他の犬を呼び、5頭くらいに吠えまくられる(西チベットではたいてい犬は放し飼い)。昼は人が多いから犬も無関心なのだが、早朝や夜はアグレッシブだ。噛まれると狂犬病の危険があるので非常に怖い。刺激しないようにその犬の縄張りから出て進むが次から次へと別の犬軍団が吠えかかってくる。今にも飛びかからんばかりのヤツもいてかなりビビる[:冷や汗:]
犬を避けつつトラックの様子を見るが出発準備をしているのは皆無。当てが外れたっぽい。犬がしつこいので予定変更し、村を出て幹線道路で車を待つことにする。幹線道路へ向け歩いていると後ろから1台のダンプが来た。ドライバーの兄ちゃんは15kmくらい先までしか行かないが、交通検査所があるからそこで車を待てばいいといって乗せてくれた。
峠道を上がること約30分でチベタンオヤジがやっている(何の検査だか分からない)検査所に到着、ここで下車して車を待つ。8:20だが太陽はまだ山の陰にあって日が差してこない。標高4700mさすがに寒い。[:おてんき:]が顔を出すのを待ちわびる。
その間にもトラックなど数台来るがアリへ行く車はなかった。9時過ぎ、ようやく日があたるようになりホッとする。遊牧民たちが羊を追う姿が見える。交通量は思ったより少なく10時を過ぎると1時間に1台くらいしか車が来なくなった。暇なので持ってきた「ワイルドスワン」を読んで時間をつぶす。たまにチベタンの子供が覗きにくるが、その顔には好奇心と同時に警戒心が同居していることが窺える。

昼を過ぎても車は増えない。腹も減ってきたが食堂もない。このまま夕方まで車が来なかったら適当な時間で一度塩湖に戻らなければならないだろう。
2時過ぎ、近くにテントがある遊牧民のおじさんが茶を飲みに来ないかと家へ招いてくれた。初めて遊牧民のテントに入ってバター茶とツァンパをごちそうになる。空腹だったのでとてもありがたかった。テントは太陽光線を吸収しやすいよう黒色をしており、テント内には電気があった。最近は30×80cmくらいのソーラーパネルがあるので、これで昼間に充電して夜は電気を点けることができるのだ。実際ここだけではなく多くの遊牧民がこれを使っている。遊牧民の生活にも科学技術が貢献しているのだなぁと感心。テント内は真ん中にストーブがあり、奥には箱を重ねた神棚(?)があって、ダライ・ラマ14世、カルマパ17世の写真も飾ってあった。茶を入れてくれたお母さんは片時も休むことなく糸を紡いでいる。おじさんも大して中国語ができるわけでもなかったのでほとんど話はできなかったが、チベットガイドブックを熱心にめくっていた。テントや子供の写真を撮るとそれを見てみんな喜んでくれた。1時間半くらいお邪魔して再び車待ちへ戻る。おじさんは道まで送ってくれ、車がなかったら戻ってきて泊まっていきなさいと言ってくれた。すごくうれしかったし、現実問題として(塩湖まで戻る必要がなくなったので)ホッとした。あとは寒くなるまで車を待つだけだ[:ラッキー:]

5時頃トラックが来る。アリへ行くというので言い値200元を120元に値切って乗車。車が見つかってよかったが、一方で遊牧テントで1泊してみたかったという気持ちも残った。このトラックも荷物満載で坂を上がるときは5km/hくらいしか出ない。しかも僕が座らされた助手席の真ん中にはヒーターが設置してあって足の置き場がない。1時間でつらくなってきた。アリまで300km、12時間くらいかかるだろうか…耐えられるか自信がない。トラックは2つの峠を越え、シュンバの町に着くまでに3時間を要した。だいたい25km/hペースだ。ここでの休憩もなく100km先の革吉へと急ぐ。この途中から道がよくなり40km/h以上のペースで進めるようになった。よかった。おかげで出発して6時間、11時には革吉に到着。ここで夕食をとる。
すると、ドライバー達が自分たちはこのままアリへ行くがやっぱり席が狭いのでお前はここで降りろ、明日には公共バスがあるからそれでアリに来ればいいという。おいおい、一番きつかったのは俺だろ、と言いたかったが中国語も出てこなかった。残り110km、このまま行って深夜3時にアリに着くよりはここで泊まったほうがいいと考え、提案を呑むことにした。ここまでのヒッチ代として80元を払って別れる。それから食堂の小姐に招待所を教えてもらいすぐ眠った。

今日の移動距離…200km
今日の待ち時間…8時間

↓遊牧テントの中

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