Day300 クショ・バクラ・リンポチェ

ゴンパ巡り2日目。当面は上ラダックエリアのゴンパを日帰りで訪問する予定なのでバスに合わせてその日に行くところを決めればいい。昨日下見したバスターミナルに7時40分着。8時発のカルー行があったのでこれでティクセ・ゴンパへ行くことにし、車掌小僧に「茶飲んでくるわ〜」と告げ、チャイと買っておいたナンで朝食をとる。で、10分後戻ってみるとバスは出てしまっていた。あのクソガキ車掌にやられた[:ぶー:]
次のカルー行に乗るのも不愉快なので行先変更、スピトク・ゴンパへ行くことにした。9時近くになってようやくスピトク行が出発。今度は別のクソガキ車掌に運賃をぼられた。昨年夏のデータは持っているのだが、原油の値上がりを考えるとあまり強気に○Rsのはずだ!とも言えず、言い値の7Rsを払ってしまったが、帰りは5Rsだった[:ムニョムニョ:]
さて、スピトクに着いたのは9時半過ぎで、バスを降りてゴンパへ向かう道を上がって行ったのだが、実はこれはゴンパの裏から入る道だった。さっそくゴンパ見学を始める。まずはチョカンを見てからドゥカンへ向かうが現在入口の辺りを改装中で閉まっていた。メインのお堂を見られないのは残念だが、気を取り直してチカンへ。現在はドゥカンの代わりにここを勤行に使っているようだった。それから一度本堂を出て離れにあるゴンカンへ。たいていのゴンカンは暗くおどろおどろしい雰囲気だが、ここも例外ではなく外から入ると目が順応するのに時間がかかる。声を頼りに暗いお堂に入るとチャム(仮面舞踊)のお面に大きなドルジェ・ジグジェ像など顔を布で隠された憤怒尊が数体。若いラマが簡単に説明をしてくれ、金平糖をくれた。このゴンパはレーから近いためかインド人観光客がよく訪れるようだ。しばらく仏像や壁画を眺めてから中庭へ戻る。現在、2003年に亡くなったこの寺の座主「クショ・バクラ・リンポチェ」のチョルテンを収める新しいお堂を建設中で数人の僧がペンキを塗ったりしていた。
これでスピトク・ゴンパ見学終了。僧坊の間を縫うようにして本来の道を下っていく。(たいていのゴンパはそうだが)下から見ると急峻な岩山に造られた要塞のような迫力がある。チョルテンの写真などを撮っていると何か楽器の音が聞こえてきたのでイベントでもあるかと思い、音のするほうへ出かけていく。と、集会場のようなところに大勢の人が集まっている。普段町では見かけないボク(ラダック女性がつけるマント)をしたおばちゃんも数人いた。中を覗いてみると大勢のラマや村人が座っていた。受付のところにいたラマに聞くとどうやらクショ・バクラ・リンポチェを偲ぶセミナーが行われるらしい。ラマは中へ入れと勧めるが「言葉はラダッキでしょ、分からないし…」と言うと、英語で書かれたリンポチェのバイオグラフィーをくれたので、中に入り村人に混じって座る。しばらくしてセミナーが始まり、数人の人が交代でスピーチを行ったが、1人の女性が英語で話した以外はやはりラダッキで話が分からない。45分くらいして中座。こんなに大勢の村人やラマを見られただけでもラッキーだった[:ラッキー:]
分かった部分はほぼもらったバイオグラフィーに書かれた内容と重なっていた。簡単にリンポチェについて書いておくと、クショ・バクラ・リンポチェはダライ・ラマ14世らとは違いもともとラダックの出身で、ラサで勉強されてからは中国によるチベット侵攻とは無関係にインドに戻り、ラダックで活動されていた方だ。従って、この地方での名声も非常に高く、インドにおける仏教界のリーダー的存在であったらしい。下院議員、モンゴル大使まで勤められたというから政治的な活動も行われたのだろう。昨年ラダックを訪問したシン首相はリンポチェの業績に敬意を表し、レー空港をクショ・バクラ・リンポチェ空港と改名することを発表したという。
さて、続いて対岸にある石窟寺院「ダクン・カウォチェ・ゴンパ」まで行ってみることにする。タルチョはためく橋を渡って道なりに歩く。快晴で暑いのでTシャツになって歩く。思ったより遠く、腹が減ったので村に茶店でもないかと思ったがそんな規模の村ではなかった。このあたりはチョルテンが多く、間違いなく人よりチョルテンのほうが多いと思われる(笑)。途中でティビというラダック山高帽をかぶったばあちゃん(レーに来て見たのはまだ2人目)に会ったので挨拶して写真撮らせてくれと頼んだが断られた。ゴンパに到着するが、予想通りカギが閉まっていた。村人がカギを管理しているらしいので数軒先にいたばあちゃんにカギを誰が持っているか?と聞くとある家を指差して教えてくれたのでその民家を訪問。ちょうどおばさんが庭に出ていたので「ゴンパのカギ持ってますか?」と聞くと「あるよ」と言うので開けてもらいたいとお願いする。と、おばちゃんは家へ招き入れてくれお茶とパンを振舞ってくれた。空腹だったのでとてもありがたかった。食後、一緒にゴンパへ行ってカギを開けてもらう。石窟は2部屋あり、暗かったので懐中電灯で曼荼羅が描かれた壁画を見るがだいぶ傷み、煤けていたので詳細はよく分からなかった。まぁ、石窟寺院の雰囲気は十分味わえたのでよしとしよう。おばちゃんに心づけを渡してスピトクへの道を戻る。
再びセミナー会場を訪れるとちょうど終了したところで、皆に昼食が振舞われていた。ラマが「食べなさい」と勧めるので、行列に加わってまたタダ飯をいただく。ライスに数種のカレーというインド飯だった。村人の数は午前中よりだいぶ増えており、また貴重な写真を撮ることができた。食後、ツーリストインフォとメンツェカンのチベット医学博物館(薬草の展示ばかり)に寄ってから宿に戻る。もう5時近かったが暖かかったので水浴び。それから部屋で休んでいるとどうも目が痛いことに気づく。やはりここの日差しは強烈なんだなぁ。目を休めるためPCも開かず早めに就寝。

本日の1曲 Billy Joel「The Entertainer」

↓セミナーに集まったスピトクの村人

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