アフガニスタンでの惨事

アフガニスタンでペシャワール会の職員伊藤さんが拉致、殺害された事件はすごくショックで、気分を陰惨とさせた。

はじめ、日本人拉致の報道を聞いたときは、ペシャワール会の職員なら良識ある人たちが解放に向けて話を進めてくれるのだろうと思って聞いていた。そして、数時間後には解放の報道で一安心していたら、次には遺体で発見、という最悪な事態が起こってしまった。

僕は、隣国パキスタンには通算半年以上滞在したが、アフガニスタンに行ったことはない(正直、危険だと思っていたから行かなかったのだが…)。だから、パシュトゥン人のことを知るわけでもないが、、、やはり、価値観の違う環境にいると、時に想像だにしない悲劇に遭ってしまうこともあるのかと思う。

ボランティアをやっていると、自分が面倒をみている家族には感謝されるし、仲良くもなる。が、与えられるものは有限で、どこかで面倒を見られる範囲を区切らなければならない状況もある。そして、結果として恩恵を受けられなかった人たちからは恨みに近い感情の対象となってしまう。そして、それが武器が日常的に使用されているエリアで、外国人排斥感情が支配的であったら…伊藤さんのような悲劇が起こってしまう素地がなかったとはいえないのだろう。

1000人もの村人が伊藤さんの救出に集まったというのは、彼がアフガンの地でやってきたことをそれだけの人が認識して、感謝していたということで、(表に出ては来ないムスリムの女性たちを考えると)きっと数千単位の人たちが彼の活動を評価、感謝していたのは確かだろう。が、かの地で数千人のシンパと共に暮らしていれば安全というわけではないのが怖いところだ。

ペシャワール会も、中村代表以外の日本人を全員帰国させるというが、これもやむをえない決断だろう。日本人スタッフの中には、きっと命を賭けても自分の仕事をやり遂げたいという人がいるのだろうが、ぬくぬくと日本で過ごしている人の一部はこういった事件がある度に、無責任であるとか、(救出に費用がかかると)税金の無駄使いだとか騒ぐから…
なにが正しいことなのか…答えは見つからない

伊藤さんのご冥福を心からお祈りいたします。また、この事件によってアフガン人=危険、といった画一的な偏見が日本に生まれないことを願います。彼もそれを望んではいないでしょう。

PS: この事件を聞いて、天皇皇后両陛下が予定されていた草津でのコンサートご鑑賞を中止され、伊藤さんのご両親とペシャワール会に弔意を伝えるよう、侍従長を通じて外相に要請されたそうです。

本日の1曲 Faith Hill「Cry」

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