奈良・京都秘仏めぐり(その1)

仕事で関西に出張するので、1日早く出て、隠れた国宝級の仏像を見に行ってみる。伊丹空港に9時過ぎに到着し、予約した森ノ宮のホテルで荷物を預け、早速出発。

まずは、三山木にある国宝「観音寺 十一面観音菩薩立像」から。森ノ宮から京橋に出て、学研都市線でJR三山木駅へ。駅から観音寺までは2.5kmくらいある。徒歩約20分。
駅からも広大なキャンパスが見える同志社大学の方へ街道沿いを進んでいく。大学を越えて行くと、面白いアパートが左側にあった。


ベツカム…って しかも似顔絵?入り
ちょっと住んでみたい気もする。

高速道路が近づいてくると、右側に観音寺の看板が見えてくる。お寺は山の方へ延びる桜並木の先にある。
この周辺は菜の花畑になっているので、春は菜の花と桜で非常に美しいそうだ。


さて、お寺に着くと左側にあるご住職のお宅で拝観のお願いをすると、本堂に案内してくれる。そして、御本尊「十一面観音菩薩立像」を何事もないかのようにご開帳してくださり、焼香を促される。その間、お経を唱えていただいた。


それから、ゆっくりお参りください、と言われ、間近で観音菩薩を拝む。天平期に作られた乾漆造で、引きこまれるような優美さを持っている。左手には花瓶を持ち、ほぼ直立している。黒光りする表面に所々に金箔が残っているのが美しさをさらに引き立てているように感じる。全身金色だったら、また印象も全く変わっていただろう。乾漆造の十一面観音菩薩はこのお寺と奈良の聖林寺のものが有名だが、聖林寺には行ったことがないので比較ができない。


最初から、こう言ってしまうのはどうかなと少々躊躇しつつも、

今回の小旅行でいちばん心惹かれた仏像だ。夢に現れそう…

ご住職はこのお寺の縁起や仏像についていろいろ説明してくれるのでありがたい。もともと観音寺は普賢寺と呼ばれ、藤原氏の氏寺興福寺の別院で、奈良平城京を中心とした天平文化圏のほぼ北限にあたり、13のお堂、20の僧坊などを持つこの一帯ではかなり大きな寺院だったのだそうだ。しかし、藤原氏の力が衰えてからは火災後再建されなかったりして一地方の古刹と化してしまった。江戸時代?にこの辺りのお寺を再建したお坊さんが真言宗だったのでこの観音寺はじめこの一帯のお寺は真言宗に属しているとのことだ。

本堂内には、他にも薬師如来像や不動明王像がある他、字が読めない人のために作られた絵文字版般若心経が飾られていて興味深い。


とにかく、ご説明を受けながらこんなに間近で国宝の素晴らしい仏像を拝めるなんて、本当に恵まれていると思う。また今度は桜の咲く時期に足を運んでみたい。

おまけ情報だが、お寺から街道に出て三山木方面へ徒歩3分のところに「ちきんはうす」という地鶏専門店があって、地元の人で賑わっている。地鶏がリーズナブルな値段で食べられるいいお店だ。


[help]観音寺: 最寄り駅 JR,近鉄三山木、 拝観料 400円[/help]
本日の1曲 Norah Jones「The Nearness Of You」

コメント