奈良・京都秘仏めぐり(その4)

さて、本日最後のお寺は、奈良忍辱山(にんにくせん)「円成寺。このお寺の目玉は運慶作の国宝「大日如来像」だ。運慶25歳ころの作品と言われている。柴門ふみは、この大日如来像を著書で一番好きな仏像に挙げていた。
このお寺、奈良からバスで1本なのだが、かなり距離がある上、バスの本数が少なく、一般的な奈良観光ルートからは外れていると思う。が、逆にとても静かに美しい庭園や仏像を楽しむことができるところだ。公共交通機関で訪れる人は、必ず時刻表をチェックして行ってください。

僕は、近鉄奈良駅15時49分の柳生行きバスで向かった。この場合、帰りは17:21分発の奈良行きバスに乗ることができる。忍辱山までは所要時間約30分、バス代も650円と大阪-奈良の電車代以上にかかるのが痛い。

もう暗くなるりかけた頃忍辱山のバス停で下車、少し戻ったところがお寺の入口になる。標高が高いこともあって、ちょうど美しい紅葉を楽しめた。浄土式庭園の右から境内に入るようになっている。開門時間は17時までとなっているが、受付では17:21のバスに間に合うように帰ればいいですよ、と言ってもらった。




受付入ってすぐのところにあるのが護摩堂で、ここには不動明王が祀られている。なお、円成寺は大日如来像が祀られていることで推察される通り真言宗(御室派)のお寺で、1153年に仁和寺の寛遍僧正が真言密教の一派として忍辱山流を始められたのが縁起だ。


その運慶作大日如来像は、1990年に再建された多宝塔の本尊として祀られている。残念ながら仏像はガラスケースに納められており、肉眼で見ることはできない。しかし、訪れる人が少ないので、(多分)時間をかけてガラスにベッタリ顔を押し付けて見ることができるだろう(ガラスの反射を避けられるよう専用メガネ?が用意されている)。桧の寄木造りで、部分的に金箔が残っている。智拳印を結んでおられ、落ち着いた雰囲気の中に迫力を感じさせる。運慶作という先入観がなくともこの仏像が国宝級だということは感じられるのではないかと思う。


そして、隣にある本堂には御本尊として阿弥陀如来像が祀られている。珍しいのが阿弥陀様の前に立っている4本の円柱、これには彩色で阿弥陀来迎図が描かれている。かなり剥落している部分もあるが、言われてみると、ああ阿弥陀来迎図だな、と理解できる。堂内には、他にも四天王像や聖徳太子像、千手観音菩薩像などが祀られている。






見学できるのは以上だ。帰りのバスまでの時間、境内から出て美しい庭園をぶらつく。本当に紅葉が美しくいいときに来ることができた。アクセスは悪いが、奈良のメジャー寺社を訪ね終えた方はぜひ訪問してみてください。





[help]円成寺: 最寄りバス停 (奈良駅から)忍辱山、 拝観料 400円[/help]

本日の1曲 Jamiroquai「Virtual Insanity」

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