STING Symphonicities Tour に行ってきた

1月19日STING「Symphonicities Tour」日本公演最終日の武道館ライブに行ってきた。一昨年、奇跡のTHE POLICE再結成ライブ以来のSTING。中学生のときに「Synchronicity」を聴いた衝撃以来、ほぼ4半世紀にわたっていちばん好きなミュージシャンなのだが、正直、最近のクラシカルなアルバムには(買ってはいるものの)あまり自分の趣味に合う曲がない。そのため、聴くのはもっぱら過去の曲という状況だったのだが、昨年発売された過去のヒット曲をオーケストラアレンジでリニューアルしたアルバム「Symphonicities」は僕的には久々のヒットだった。(当初、日本発売も決まってなかったのでSTINGもいよいよか…と心配したのだが、その後無事発売)

さて、今回はその「Symphonicities Tour」の一環での来日。ということで、オーケストラとの共演という豪華なコンサート。12,000円のチケット代で東京ニューシティ管弦楽団の方々の取り分はあるのだろうかと勝手な心配をしてしまう。運良くアリーナ席を取れたのでラッキー。余談だが、最近、コンサートチケットはサークルKサンクスの端末で買っていて、これはいい席が出るまでチェンジができるので便利(詳細は別途POSTしたいと思う)。

さて、ほぼ定刻でオケの面々が入場、そしてドミニク・ミラーはじめバンドのメンバーが加わり演奏を開始する。ドミニクがまだ一緒にやっているのはうれしい。Nothing Like The Sunの頃はSTINGが若手ギタリスト抜擢、みたいな感じだったがすっかりオジサンベテランミュージシャンとなった。指揮者はスティーヴン・マーキュリオ、生のオーケストラの演奏を聴く(見る)機会はほとんどなかったのだが、すごくリズミカルで大きな指揮をする。こういう大きな箱でのエンターテイメント性の高い演奏ということで意識的にやっているのだろう。

オープニングは”If Ever Lose My Faith in You”、これは予想できる曲、楽器を持たずにSTINGがステージに立つのを見るのは初めてかも。両手を広げ朗々と歌う姿、伸びのある声に期待が高まる。モニターに大写しになる頭の後退、いつの間にか深く刻まれたシワにちょっとショックを受けるが還暦アーティストだからしかたがない。MCで日本語で煽るのも慣れたもの、観客も多くがSTINGのライブ経験者なのではないかという雰囲気で、求められるコーラスにも戸惑いなく応える人が多い。

このライブ、特筆すべきは、やはりドラマティックなオーケストラアレンジ歌手STINGを再認識した歌唱だと思う。楽器を持たずに歌うことで「聴かせる」アレンジになり、ジェスチャーも増えていた。その点で、僕は(馴染みの曲が多いこともあって)第一部の方が新鮮さがあって好みだ。もうちょっと歌詞をちゃんと聞き取りたいというもどかしさを覚えたのもコンサートでは珍しい。

ここで、本日のセットリスト
PART1
If Ever Lose My Faith You
Every Little Thing She Does Is Magic
Englishman In New York
Roxanne
Straight To My Heart
When We Dance
Russians
I Hung My Head
Shape Of My Heart
Why Should I Cry For You?
Whenever I Say Your Name
Fields Of Gold
Next To You

PART2
A Thousand Years
This Cowboy Song
Tomorrow We’ll See
Moon Over Bourbon Street
End Of The Game

Mad About You
King Of Pain
Every Breath You Take
Desert Rose
She’s Too Good For Me
Fragile
Message In a Bottle

だと思う。悔しいことに分からない曲があった。
意外な選曲としては、Straight To My Heart, Russians, Why Should I Cry For You, Whenever I Say Your Name, This Cowboy Song, Tomorrow We’ll Seeといったところか。
僕が特に素晴らしいと思ったのは、PART1では、Russians, Shape Of My Heart、PART2のMoon Over Bourbon Street, ノリノリのDesert Roseかな。オケアレンジでは、イントロをオケのオリジナル演奏で引っ張って「どの曲が来るんだろう?」とテンションを上げていく手法が目立ち、効果的だった。そして、それに完全にひっかかってKOされたのがRussians。ソロ1stアルバム収録の(シングルカットもされた)名曲だが、ライブで聴いた記憶はなく、この1曲だけでも来てよかったと思う出来。”In the rhetorical speeches of the Soviets Mr. Krushchev said we will bury you”なんて歌詞を聴いて、あぁそういえばまだこの曲聴いてた頃は中学生でソヴィエト連邦だったんだなぁなんて勝手にタイムスリップしていた。あと、アルバムではBranford Marsalisがソプラノサックスで聴かせていた”Englishman In New York”のクラリネットアレンジ。これも柔らかく伸びやかで素晴らしい。オケの中でソロパートの演奏があるときはスポットライトを当て、STINGが演奏者の名前をアナウンスする姿勢もカッコイイ。

Why Should I Cry For Youなどは、「歌を聴かせる」ための選曲かなと思う。今までのステージでは初めとというくらい、伸びやかに高らかに歌っているSTINGが印象的だ。PART1最後は、All I want is to be…と引っ張って、ポリス時代のロックチューン「Next To You」で盛り上がらせる。年齢的に、総立ちになるのかなぁ?と思ってみていたオーディエンスだったがこの曲で一気に乗った。

2部構成のこのライブではセットの間に30分弱の休憩が置かれ、後半出発。A Thousand Yearsはやや地味なスタートだったが、This Cowboy Songはかなり意表をついて、かつ大胆にアレンジを加えた1曲。バンドメンバー総出のダンスが愉快だ。後半(ラスト&アンコールの盛り上がりを除けば)のクライマックスは”Moon Over Bourbon Street”。吸血鬼に扮した演出、オーケストラがピッタリはまるアレンジに伸びやかなヴォーカル。最後の「アォ~~~~ン」には、武道館がすっかり引きこまれてしまった。

この後、知らない曲が入って僕的にはちょっとテンションが下がるが、”King Of Pain”になると、オーディエンスも終わりが近いことを覚って否が応でも盛り上がる。”Every Breath You Take”は何度聴いても飽きることのない名曲、総立ちの中、一応セットが終了。

この後はアンコール、”Desert Rose”で盛り上がりはピークに達し、拍手が鳴り止まない中、”She’s Too Good For Me”とアップテンポなナンバーで畳み掛ける。そして締めくくりに演奏されることも多い”Fragile”をじっくり聴かせて、これでこの至福の時間も終わりか…と思うが、オケのメンバーが席を立たず、オーディエンスのアンコール拍手に同調している。

これは、もう1曲アリかも、と思っているとSTING一人でステージに戻り、「もう1回?」という日本語MCに続いて、アカペラの”Message In a Bottle
“これは、STINGソロ第1作「The Dream Of The Blue Turtles」と並行して撮影されたドキュメンタリー「ブルータートルの夢~A Band Is Born」(残念ながらDVD化されてないらしい)のラストを思い出させる。25年の時を経て、またここに戻ってきたのだなぁとマニア的に感動。

とにかく、期待以上の満足感を与えてくれたライブだった。日本公演も見られなかったSTINGファンの方はぜひベルリンでのライブDVDを見てください。

本日の1曲 STING「Russians」

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