2011イタリア旅行(Day4)

さて、今日はStefano一家での2日目で最終日でもある。夫妻のベッドを借りて熟睡、クイーンサイズはいいな。昨夜は時差ボケもあって眠気に耐えられず僕らは12時前に寝せてもらったのだが、二人は片付けとかいろいろしていたみたい。

まだStefano家族は起きてなかったが、8時過ぎに身仕度をしてリビングへ移動。ちょっと雲があるが草木の甘い匂いが立ち昇ってとても気持ちのいい朝だ。田舎?の生活がいいなぁと思う瞬間。

しばらくして皆起き出してくる。朝はイタリア風トルティーヤにチョコクリームを塗って食べる。そして、もちろんイタリアンエスプレッソ。目が覚めるぜ。Stefanoは自分の家と思って何でも取って食べて、と言ってくれるけど、なかなかそういう訳にもいかないよな。昨日から結構食べてるからお腹もさほどすいてないし。

朝食がてら建築談話。妹島和世や日本の障子や引き戸の話やら、IKEAの話やらをして、その間にも彼は手も口も休めずに子ども達にも何かしら食べさせたりと、やはりイタリアのお父さんは忙しい。

それから、子ども達とお土産の福笑いをしばらくいじって過ごし、10時過ぎに皆でウルビーノ観光へ出発。車で30分弱のところに世界遺産があるというのも恵まれた環境だ。ウルビーノはラファエロの故郷としても知られているが、やや他の観光地と離れているせいもあってあまり日本人観光客が訪れる雰囲気はない。奥まった山の上に築かれた、坂と迷路のような小道が無数にある、想像よりもこじんまりした街。大学がいくつかあって、現地では学生の街というイメージもあるらしい。


駐車場に車を停め、降りるとすぐ大公(Duke)の居城ドゥカーレ宮殿の高い塔がそびえている。その崖のような城壁にカリオストロの城を思い出したのは僕だけではないだろう。中世の面影そのままの茶色いレンガ造りの城下町の屋根がつづら折りのように前景となっていて、素晴らしい景色。街の中に上がるエレベーターがあって1人50セント。これだけの高度差があれば、かつてはさぞ堅固な城だったのだろう。


ここが今回の旅でいちばん寒いだろうと予想はしていたものの、やはり冷え込みは厳しく、噴水の水盤には1cm近くの暑い氷が張っていた。道はどこも坂道で、人がやっとすれ違える程度の幅の小道がそこかしこに見えてすごくいい雰囲気。これくらいの規模なら迷っても危険はないだろうし、路地好きにはたまらないところだ。




完全に中世の面影なのだがちゃんと大通りにはミニバスも走っていて、貸部屋の案内も目立ったりとしっかり現役の街であるのが新鮮だ。急坂をスクーターが走って行ったり、洗濯物が干してあったりと世界遺産の観光地としての側面と実際に生活している人たちの居住地としての側面が半々といった様相。外国人が京都に来るとこんなふうに見えるのかな?

アリオはここでも、ふと気づくとピノキオがたくさん置いてあるおもちゃ屋に釘付けになっていたりと目を離せない。イタリア語ではfull, eoughという意味で「Basta」というが、「いいかげんにしなさい」「もう十分だろ」というニュアンスで、よく子供に「Basta!」と言っている親を見かける。


さて、適当に坂道を上がっていくとドゥカーレ宮殿に出る。現在は国立マルケ州美術館となっていて、宮殿内の見学をかねて絵画などの作品を鑑賞できる。かつては特徴的な鷲っ鼻の大公が広間までは馬ごと入ったという低くて踏みしろの広い階段を上り、各部屋の意匠をながめつつ、展示されている板絵や祭壇画、タペストリーや聖母子像などの15世紀を中心とした美術品を楽しむ。残念ながら内部は写真撮影不可。


Stefanoが、窓辺に作りつけられたベンチに腰掛けて昔の人々は語らったんだよとか、キリスト教の典型的モチーフについて色々説明してくれるの。同じように娘のアデーレにも、絵や様式を説明してあげている。アート系キリスト教徒とはいえよく知ってるなぁと感心。僕もこういう親父にならなくては…


ここではピエロ・デッラ・フランチェスコの有名な遠近法を駆使した絵画史に残る傑作「キリストの鞭打ち」、やラファエロの「ラ・ムータ(若い婦人の肖像)」という作品も見ることができた。「キリストの鞭打ち」は思ったより小さな作品だったが、これが西洋の絵画を変えたのだ。

絵画に加えもう一つの見所は、寄木細工。各部屋の扉は立体的な幾何学模様や天使、草花文様など図柄がそれぞれ違ったデザインで作られ、特に書斎らしい部屋は本や天球儀などが立体的に描かれていてその精緻さに圧倒される。1時間ちょっと宮殿内部を見学したらすっかり冷え切ってまったし、予約したローマ行バスまでの時間もあまりなくなったので全ての部屋を見終わってはいなかったが出ることにした。


急ぎ足でローカルレストランに入って昼食。ぎっしりとテーブルが置いてありスペースの割に席数が多い上、既に待っている客もいてシェフやウェイトレスたちは気の毒なくらい忙しそうだったが、幸いすぐ席が空いて皆で入る。あったかさにほっと一息。


時間がせまっていたので少し急いでパスタを食べる。日本ではパスタ=スパゲッティのイメージが強いが、こちらでは本当にいろんな種類がある。地域性も強いようだ。子供たちもしっかり1人前食べるのがスゴイ。アデーレとアリオが、なんか同じことを繰り返し話してくるので、なんて言ってるのか聞くと「また来てくれるよね」と言ってるのだと聞き、ジーンとくる。ホントカワイイなぁ…
なお、こういう一般的な食堂ではチップを置く必要はないんだそうだ。安心。

街に出るときはエレベーターを使わず急坂を下ってバス停のある駐車場へ。もうローマ行バスが来ていたので乗り込む。ローマ-ウルビーノ(ペーザロ)間はAdriaBusが1日2往復運行。webで予約、カードでの支払も可能だ。

Stefano一家とは丸一日だったが、ほんとうに素敵な時間を過ごせて大感謝。とても観光客だけでは見られない、行きたいと思っていたような山の上の街を案内してもらえた。それに、家族を中心としたライフスタイルというものを再認識するよいきっかけにもなった。お父さんが大変だってことも分かったし…苦笑

バスはローマまで約4時間。ウルビーノから2時間くらいは何カ所か街に寄って人を乗せながら、山沿いをトロトロ走る。iPhoneを見てたらちょっと気持ち悪くなった。最後の停車駅でトイレ休憩をしてAutostradaに乗り、ローマはティブルティーナ駅へ向かう。ティブルティーナには19:30頃到着。当然真っ暗で少し気を張って歩く。地下鉄入口を見つけテルミニ駅方面ホームへ。改札で英語を話す駅員さんが「スリが多いからバックパックに気をつけろ」と声をかけてくれた。

ホテルは一昨日までと同じなので勝手も分かっていて楽勝。また外食が面倒になったので、相方がシャワーを浴びてリフレッシュしている間に常連になっている駅のスーパーCONADでチキンを購入、残っていたライ麦パンにエメンタールチーズ、そしてワインで夕食。暖かいセントラルヒーティングの部屋で爆睡。↓はローマで5泊したMilani Hotel。駅から近くて便利、部屋もきれいだし、広さもまずまず。ツイン/ダブルで1万円弱の部屋としてはよいレベルだと思う。予約はagodaからが少し安かった。





本日の1曲 STING「This Cowboy Song 」

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