出産ドキュメント(その3)

5月2日
朝になり陣痛がいったんピークを越えてしまったようで、間隔も強さも入院した頃より前の状態まで戻ってしまった。こうなると長丁場を覚悟し、体力を維持することを最優先課題として、なるべく眠る、栄養をとる方針で次のチャンスを待ちましょう、との先生の判断。陣痛が朝に向けて弱くなってしまうこと自体は珍しくないようだ。確かに、生まれる時間は夜明け前くらいが多いような気がする。

8時
一度内診をしてもらうが、子宮口の開きはまだ6割程度で全開にはほど遠い。妻は、丸一日以上何も食べていない(食べると戻してしまう状態が続いている)ので、栄養補給に点滴を打ち、僕はとりあえず近くのマクドで朝食休み。全くこんな展開は予想していなかった。自然分娩のサポートしかできない助産院としては、次の波を待つしか手がないので、妻はいったん分娩室から産後入院用の個室に移り休息をとる。そして僕は、妻と先生と相談した結果、一度家に戻って睡眠をとることにした。

17時
妻から「また陣痛が強くなってきたので分娩室に移って診てもらう」とのメール。すぐに助産院に向かう。確かに陣痛は強くなっているようで、見ていても痛みが激しくなっているのが分かる。痛々しくて見ているのがつらい。間隔は相変わらず不規則だが波のようにやってくる陣痛の痛みが少しずつでも子宮口を広げると信じてひたすら耐えるだけ。そして、ダンナも励ましながら横で腰をさするだけ。助産師さんは「お産とはこういうもの」と言うが、初産の2人には想像以上の試練。

23時
リトマス紙をあてたら変色していたのでいつの間にか破水していたと言われる。破水したら感染症予防のため抗生物質をとり、24時間以内に出産しなければならなくなる。これで明日にはどういう方法であれ生まれることが決まり、少しほっとする。この頃には2人とも疲れ果て、切って出せる状態ならもう帝王切開してほしいという気持ちになっていたが、それは助産院ではできない。ここまで頑張ったので自然分娩してほしいという気持ちもあるし、病院に移してほしいとはなかなか言いづらい。
今晩は、助産師さんがずっと付いていてくれるということなので僕は1時過ぎから朝まで入院用の個室で寝かせてもらうことにした。
(続く)

本日の1曲 Motley Crue「Power to the Music」

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