【読書メモ】「時間」の作法(林望著 角川SSC新書)

「作法」という言葉がタイトルに入っているのは意味不明で、リンボウ先生流の時間節約術を収めた本。時間短縮のテクニックとはちょっと違った広い視野で書かれている。

第1章の「忘れることに備える」というのは、確かに大事な視点。時間を有効に活用する方法も大事だが、時間をロスすることを避けるという考え方も絶対に必要なものだ。周りを見ても効率の悪い人ほど常に何かを探していないだろうか?

そして、忘れることで損失する最大のものは(時間よりも)アイデア。これも創作の世界に生きている著者だけでなく、多くのビジネスパーソンにも共通することだろう。忘れないためには、結局「メモをとる」という結論になるのだが、著者が使用しているツールはA4の紙をケードサイズに折りたたんで携帯する、という拍子抜けするほどシンプルなものだ。しかし、ツールは人それぞれ、携帯しやすいものでよいのだろう。先日、@goryugoさんとお話したときに言われたのは「iPhoneが手元にない時ってないでしょう?」という一言。僕もこの完全にタイプなので、やっぱり記録ツールはiPhone+EVERNOTEだな。

第2章の「いかにして迷わず書くか」も重要。書くスピードを上げるトレーニングとして挙げられているのが「好きな作家の文章を真似る」こと。文章を書く目的は相手を説得すること(このあたりは齋藤孝「人を動かす文章術」でも強調されていた)であり、プロの書き手は必ず読者の存在を意識して書いているからそれを倣うのがよい、ということ。書き写す時間がなければ、暗記するほど読み返す、それくらいの努力をして文章の本質が頭に染みこんでいくのだ。

以下、備忘録的にポイントを記録。

キーワードは三脚と同じ…メモを書くときにキーワードが1つでは、はっきり思い出せないことがある。キーワードは思いついたまま3つくらいパパっと記録すべし

手紙も横書きで書く…正式な手紙だから縦書きで書く、という必要はないんではないか。横書きが時代の趨勢と割りきって横書きにする。

スピーチには十倍の時間をかけて準備する…準備に使う時間を惜しんではうまく話すことはできないと心得よ。ここでは時間を短縮することよりも最大限にオーディエンスの心をとらえることを考えるべき。

時間の節約の前に時間の見積りをする…目標タイムがあって初めてムダがあったかどうか検証できる。漫然と動いていては時間のムダが見えてこない。

自分がすべきことと任せるべきことを分ける…食器乾燥機は不便だが、洗濯乾燥機は時間節約に重宝する。アイロンがけよりクリーニングのほうがコスパがいい。

人生という枠で時間を見る…10年単位で○○をする時期か考える。40代は?50代は?

病気は最大の時間ロス
…健康管理には万全を期すこと。精神の健康管理、3日待って怒る。

本日の1曲 Lenny Kravitz「Supersoulfighter」

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