【映画】ジャーニー / DON’T STOP BELIEVIN’

ロックファンなら知らない人はいないジャーニー(JOURNEY)。僕も、名作「Escape」や「Frontiers」それから「Raised On Radio」までは何度も聴いていました。しかし、いつの間にか新譜を追うことはなくなり、最近まで活動をしているのかどうかも知らなかったのですが、たまたまFacebookでアメリカに住む友人がUPしていたYoutubeを見て、スティーブ・ペリーが脱退して(声が彼にそっくりの)新しいヴォーカリストが入っていることを知りました。さらに彼女がバンドについて書いているpostを読んで、新しいヴォーカリストが無名のフィリピン人であることなど、今のジャーニーについて少し分かってきました。

そこで、かつて数々の名曲を生み出してきたバンドの「今」への興味が生まれ、さらにWikipediaなどで調べ、最新盤 「ECLIPSE」を聴いたりし、新ヴォーカリストであるアーネル・ピネダがニール・ショーンがヴォーカルを探すためYoutubeでジャーニーのカバーをしているバンドをチェックしていて見つけオーディションに呼び、正式加入に至ったという信じがたい話とそれをフィルムにしたドキュメンタリーがあることを知りました。それがこの『 / DON’T STOP BELIEVIN’』です。

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photo credit: Khaz via photopin cc

先に感想から言ってしまうと、ジャーニーファンは必見、それ以外のアメリカンロックファンにもぜひ見てほしい作品です。アーネルが加入後に行われた昨年3月のジャパン・ツアーを見逃したのがホント残念です。同ツアーは、セットリストを見る限り、新作「ECLIPSE」からの曲は全然やってないベストヒッツのようですが、ジャーニーのように過去の名曲が多いとファンの期待を裏切らないことが最重要課題で、ヴォーカリスト探しもスティーブ・ペリーに近い声質で違和感がない人でなければならなかったのでしょう。

フィルムは、アーネルやニール・ショーンをはじめとしたバンドメンバーのインタビューとライブ映像(過去と最近)、移動中の様子などで構成されています。ニール・ショーン自ら新しいヴォーカリスト探しにyoutubeでジャーニーのカバーバンドを片っ端からチェックしていたという21世紀的なバンドメンバーリクルーティングに驚きますが、そこで見つかった才能ある男がアジア(フィリピン)人であっても、快くオーディションに呼ぶジャーニーのメンバーに対して器量があるなぁと感心しました。

というのも、ジャーニーのサウンドはアメリカンロックそのもので、そんなバンドの顔にアジア人を迎えることに反感を覚えるファンも少なくないことが予想されるからです。そうした一部のファンからアーネルに寄せられる中傷の数々とそれに対するアーネルの想いもフィルムに収められています。彼が20歳の青年だったら、賞賛と誹謗中傷に翻弄され、すぐに自分を見失っていたのではないかと思いますが、人生経験を(それもかなり過酷な)積んできたアーネルは驕ることなくプロフェッショナルとしてベストを尽くしています。

さて、アーネルがジャーニーというビッグバンドのヴォーカリストに迎えられるというストーリーはまさにアメリカンドリームそのもので、フィルムを見るまでは、タイトルの「Don’t Stop Believin’」もピッタリと思っていたのですが、見終わった後、は少し違った思いを持っています。

アーネルは、歌手として成功しようと信じ続けて歌っていたのではなく、生きるために歌い続けていました。それは、アメリカンドリームとはちょっと違うと思うのです。フィリピンで組んでいたバンドではオリジナル曲も作りましたが、それはさっぱり売れずカバーだけが盛り上がるというミュージシャンとしては悲しい現実にも直面します。自分の特技をひたすら磨いていくと、その才能と努力が求められるところに届く、インターネットによって世界中の情報がボーダレスに結ばれるようになった現在だからこそ起こった1つの奇跡、それがこのフィルムに収められていることといえるでしょう。

 

 

「アーネルはツアーが終わるまでずっとオーディションが続いていると思っていたようだ」というツアーマネージャーの言葉は彼の心情をよく表しています。そして、続く「彼はバンドのメンバーで、5人で儲けた金を5で割った金額を手にするんだよ。金額は言えないが相当の額だね。」という言葉はフェアでうれしかったです。実際、彼が稼いだ金で購入したフィリピンの家で食事を作っている姿も収められています。

アジア人、日本人だからこそ感じるところも多いでしょう。もちろん、ジャーニーファンは彼らの音楽を存分に楽しめます。

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