【読書メモ】「任せ方」の教科書(出口治明著 角川書店)

ライフネット生命保険会長・CEOの出口治明氏が2013年にマネージャーの仕事について書かれた1冊。組織として高いパフォーマンスを発揮するためには、管理職は部下に仕事を任せマネジメントに徹することが必要、と分かっていてもなかなか実行できない命題についてストレートに持論を展開されています。

部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書 「プレーイング・マネージャー」になってはいけない (ノンフィクション単行本)

出口 治明 角川書店 2013-11-22
売り上げランキング : 2895

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本書でいちばんインパクトがあったところ は、権限を明確にすること、例えば100万円未満なら課長決裁、100万~500万円は部長決済とし、さらに職責上位者の承認は不要、後で口を出させないというルールも明確にする、というところでした。一応の決済権限を決めている会社が多い とは思いますが、実際は課長が決めたことに後で部長が口を出すから、結局のところ、課長は部長にお伺いを立ててから出ないと決められない、ということが起こっているのではないでしょうか。権限を明確にすると同時に、上司は部下の権限を代行できないというルールを徹底しなければ絵に描いた餅になってしまいます。

以下、本書で覚えておきたいポイントの抜き書きです。

◆なぜ仕事を任せなければならないのか?
→ダイバーシティ(多様性)が低成長時代の会社の成長に必須、そして人間の能力はたいして変わらず、一人のマネージャーが細かく管理できるのは2〜3人でしかない

・決定するときは、責任を持たせる決定権者が一人で決めるべき、ただし必要な人には同意権(拒否権)を持たせる

・権限を明確化するだけで仕事のスピードが上がる

・同質の人が集まっている組織は硬直化する。女性がカスタマーなら女性を登用するなど、顧客層に合わせた多様な人材に任せる

・グローバリゼーションとはプレーヤーの数が拡大すること→サッカーがプロレスになるくらい従来のゲームのルールが変わることを認識すべき

◆仕事の振り方: 丸投げ=指示があいまいはダメ、的確な指示、権限の範囲を明確にする。
・的確な指示には双方向のコミュニケーションが必要。情報の食い違いは頻繁に起こる。 部下は腑に落ちるまで指示の意図するところを確認しなければならない。

・的確な指示の条件
1. 期限を示す
2. 優先順位を示す
3. 目的、背景を示す
4. 要求レベルを伝える。ex.下書きレベルなのか完成品納品なのか
※このあたり、この間読んだ「稼ぐ力」で大前研一氏が述べていた「部下や外部の人間に仕事を頼む場合は、クオリティや納期など仕事の内容をSLA(サービスレベルアグリーメント)という形態ではっきり示すべき」と同じですね。

・判断のルールを作ることで部下は迷わず業務を進められる。その際は誤解の余地をなくすこと。

・ホウレンソウは上司が部下に行うモノ: そもそも上司はうっとおしい存在。積極的な部下はゴマスリと思え
※コミュニケーションは上司からとっていかなければ必要な情報は自動的に上がってこないということですね。このあたり耳が痛い話です。

・完成品レベルの仕事を任せたら責任をとらせる→やり直しさせる。上司が自分で直してはいけない

・部下の責任は上司がとる。知らなかったは関係ない。この意識が部下を把握することにつながる

・部下がサボるのは仕事を与えていないから。忙しくさせるのは上司の仕事

◆マネージャーは、60%で合格点のつもりで部下に仕事を任せる。
・プレーヤー全員が60点を取れる組織を作るのが使命
・全員が60点になってから次のレベルへ引き上げる
・自分がやったほうが早いを我慢するのも度量。

◆仕事をかかえる人の残念な共通点
1. 人間の能力や使える時間が有限であることを分かっていない
2. 部下の仕事が60点では納得できない
3. 判断のスピードが遅い: 部下を信頼してないと任せるという選択肢が後回しになる。

・部下の長所を伸ばすことにフォーカスする。丸くしないで尖ったところを伸ばすことに注力する。

・責任の大きな仕事は任されたくないと考えている人には、仕事を任せない

・人間の特性を2つに分けると鉄タイプ(叩いたほうが伸びる→負荷をかけて伸ばす)と瓦タイプ(じっくり育てたほうが伸びる→瓦タイプには得意な仕事を任せる)

・山本五十六の名言: 「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」に、さらに「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」と続くのですね。後半は初めて知りました。

◆リーダーの条件
1. 強い思い
2. 共感力
3. 統率力

・部下の承認欲求を満たすためには肯定的に評価すること。褒める3に叱る1の割合が最低ラインと考える。

・できるから任せるのではなく、任せるからできるようになる。順序を間違えないこと

・自分のコアコンピタンスは残してそれ以外はアウトソース。アウトソーシング先は自社の社員と同じように扱って、足を運んで緊張感を持たせる

まとめ

精神論だけではなく、なぜ仕事を任せなければならないのかという理由・背景から、どのように任せていくかという方法論に入っていくので非常に分かりやすく、出口氏のキャラクターもあって時にユーモラスに書かれています。部下指導にお悩みの方には参考になることがたくさんあるでしょう。

部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書 「プレーイング・マネージャー」になってはいけない (ノンフィクション単行本)

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