【読書メモ】すごいメモ(小西利行著 かんき出版)

「すごいメモ」というタイトルですが、メモというよりは「ノート術」に近いという印象を受けました。「メモ」に対するイメージは人それぞれでしょうが、僕の感覚的には、メモとは電話メモに代表されるように短期記憶を紙切れに転記しておくだけのものです。
しかし、本書では著者が「メモは腐るもの」と書いているように、後で見返して使うモノとして考えられています。その場合、当然紙切れに書くわけではなく、本書88ページで紹介されているようなノートに書き留めていくタイプになるでしょう。
では、タイトルに釣られただけで「違うな…」で終わったのかというとそんなことはなく、ノート術、アイデア作成術として有効なエッセンスが詰まった本でした。初めは、○をつけるだけというメソッドとも言えないような(失礼)手法が紹介されていて、「何だこりゃ!?」と思ったのですが、第2章「つくメモ」あたりから、なるほど!というメモ術が披露されています。
備忘録、議事録的なメモではなく、アイデアのネタ帳としてのメモ(ノート)を書くことの意義を改めて認識しました。

大前提として「メモは未来の自分に伝わるように書く」ということです。そして、未来の自分は何も覚えていません。そんな自分がメモを見返すと、あぁこんなことがあったな、コレはこう使うと面白いかも、とアイデアをふくらませるツールになります。そのために大事なことは、記録した日付(年月日)をつけておくことです。

以下に、僕がコレは使ってみたいと思ったメソッドを抜き書きします。
   
◆○をつける: あまりにもシンプルですが、見るべきポイントを明確にするために以下のルールを当てはめることで後で見返した時に当時の印象が蘇ります。
 ・○は3つまでに絞る
 ・どこかに書いてあることには○をつけない
 ・?と思ったところに○をつける

◆矢印をふる: マインドマップ的なメソッドです。無秩序な言葉の羅列を整理するときに有効そう。ブレストを付箋でやって、並べ替える作業に似ています。
   ・「→」の意味は、「だから」「そこで」「ところで」「つまり」「でも」「さらに」のいずれか→つまり、接続詞の代わりに矢印を使うわけです。

◆記号をふる: 以下5つの記号を使って各項目のポイントを明確にします。
 ・「VS」競合、「○×」方向性が合っている、間違っている、「?」この部分はわからないから答えを探そう、「☆」重要、「⇔」対比

◆デジタルメモではタイトルに検索要素を盛り込みます。また、タグを増やしすぎるとかえって検索時に迷います。
  ・タグの例: 重要、流行、ビジネス、アイデア、本など
 ・「★」を重要タグとしてつかう

◆ハードルメモ: 「さすが、帝国ホテル」のように、あるフレームを適用することで考え方が変わります。
・「それは、本当に…か?」に当てはめて考えてみることで視野が広がります。

◆三角メモ: 隠れニーズを見つけるメソッドです。
 ・送り手 共感(隠れニーズ)▶????◀ 受け手 ????の重なるところに隠れニーズがある
 ・▶◀ブラック三角メモ: 不満を書き出して隠れニーズをあぶり出します。
  左側に商品/サービスの、情報を書き出す。右側に不満-嫌なこと、困っていることを書き出す。

 ・▷◁ホワイト三角メモ:テーマとターゲットを結びつけるポイントを見つけます。
  左側にテーマに関連する情報を書き出す。右側にターゲットの好きなことをひたすらリストアップ。両方の三角にあがった言葉を結びつける

◆つなぎメモ:思い浮かんだことを→でつないでいきます。それによって頭の中の整理がそのまま企画書にもなっていきます。

◆あまのじゃくメモ:結果→原因の流れで考えてみます。
  ・自社が実現できることではなく、他社に先にやられると悔しいことを考える
  ・男性の商品企画に、男性は無視して女性ウケすることだけを考える
  →今やってないからやる ことを見つけるのに、最適 例えば「見せブラ」

◆伝メモ:人に「伝わる」メモにするための一工夫です。
 ・見出しに入れる要素→場所や理由、人やモノ、行為を13文字程度で書くことで臨場感が生まれる

◆スピーチメモ:書籍のタイトルを応用して、ひと目見ただけで興味を惹くパターンを作ります。
 ・「なぜ、○○は、××なのか?」
 ・数字を入れる 「○○を叶える3つの方法」

 

まとめ 「すごいメモ」にするために

僕自身は、この数年メモはもっぱらiPhoneに頼っていて、他社との打ち合わせ時だけは(目の前でスマホいじってるのも失礼なので)手書きノートを使っていましたが、そのノートは最低限の備忘録としての役割しか果たしておらず、そこからアイデアが生まれることはありませんでした。

著者の言う「メモは未来の自分に伝わるように書く」という概念は言われてみれば当たり前のことですが、メモをとっている時にはほとんど意識していないことでした。しばらく本書で紹介されているメソッドを使ってノートを充実させてみようと思います。

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