農地を購入して家を建てる際の不動産所有権移転の登記について

昨年、地元の方が農地として所有している土地が売りに出ているという情報を得て、諸々検討した結果、その土地を購入して家を建てることにしました。

実際に動いてみると様々な手続きがあるのですが、まずは第一段階の農地を宅地に転用する許可を得て、その土地を購入するところまで終了したので、その際の所有権移転登記についてメモを残しておきます。

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農地を購入して宅地として家を建てるプロセス

わが家の場合、売主さんは元々は地元の方なのですが、都内に引越されていて相続で残っていた土地を売りに出していた、という状況での購入でした。単発の土地売買は、宅地建物取引士の資格がなくても可能なようですが、上述の状況だったので売主さんと直接手続きができる状況ではなく、紹介者を経て地元の不動産業者に仲介をしてもらうことになりました。仲介業者に入る仲介手数料は売主・買主双方から3%ずつなので、節約できればかなりの額なのですが、今回はやむなく支払いました。

農地に家を建てることは法律で禁じられているので、まず農地を宅地に転用する申請を行います。いわゆる「農転」というものです。これは毎月締切が決まっていて、翌月に許可が下りるようです。土地の整地などもこの許可が下りるまではできないことになっているそうです。農転の許可が下りると、土地の売買契約を締結に進みます。なお、農転にかかる費用は売主の負担です。

土地の売買契約

わが家の場合は、上述のとおり仲介業者がいたので契約書、重要事項説明書を作成してもらい、売主との面談をセットしてもらいました。事前に契約書の内容を確認しておき、面談当日に読み合わせをして、記名押印して契約を交わしました。
同時に手付金を支払い、次回の残額支払いと所有権移転登記のための面談予定を決めました。売買契約書は交わしてもその条項に「全額の支払いをもって所有権が移転する」旨記載があるので、法的にはこの時点ではまだ土地の所有者は売主ということになります。

所有権移転登記とは

続いての手続きが代金残額の支払いと所有権移転登記です。これも仲介業者立会で行いました。僕の場合は、土地はギリギリ自己資金で間に合ったのでローンは使っていません。金融機関に売主・買主双方が出向き、窓口で売主の口座に振り込みます。金額が大きいので、ATMやオンラインバンキングでの振込は限度額設定を外しておかないとできないでしょう。窓口での振込の場合も、用途を確認され、身分証明書の提示を求められました。

振込が済むと、晴れて土地が自分のものになるわけですが、それを法的に証明するために所有権移転の登記が必要になります。司法書士が手続きを代行することが多いようですが、自分でやると4〜5万円節約できます。僕もいくつかのサイトを参考にして自分で法務局に行って手続きをしてきました。その際、気をつけておくべき点を次の項で書いておきます。

必要書類

買主が売主の申請代理人として登記手続きをする場合に必要な書類です。※印の書類が自分で作成しなければならないもので、それ以外は役所などで入手します

買主が準備するもの

・所有権移転登記申請書 ※
・委任状 ※
・登記原因証明情報 ※
・住民票の写し(個人番号の記載がないもの)

売主が準備するもの

・登記識別情報または登記済証(権利書)
・印鑑証明書
・最新年度の固定資産税評価証明書
・実印
・農地法の許可書
農地法の許可書は、農地を農地以外にに転用する場合にのみ必要な書類で、これは参考にしたいくつかのウェブサイトで触れているところがなく、ノーチェックだったのですが、手続き当日に仲介業者が用意してくれていました。

書類作成の注意点

農地転用の場合、登記申請書類の記入時に注意しなければならない点が2つあります。

  1. 地目は農地 売買契約を結ぶ前に農地転用の手続きを済ませていたので、既に地目が「宅地」になっていると思っていたのですが、実は農地転用の許可が出ただけであって実際に宅地に変更となるのは家ができてからです。したがって、書類上の地目は「農地」としなければなりません。おかげで登録免許税、初年度の固定資産税は非常に安く済みます。
  2. 農地法許可の文言記載 登記原因証明書の「登記の原因となる事実又は法律行為」に農地法第5条の許可に関する文言が必要です。具体的には「平成○年○月○日、農地法第5条の許可を得、平成○年○月○日に許可の到達があった。」という文言です。参考までに登記原因証明書のサンプルをアップロードしておきますのでご活用ください(僕はこの書式で登記しましたが、内容は契約書に応じて書きなおしてください。使用は自己責任でお願いいたします)。

登記の際に知っておくとよいこと

  1. 捨印 登記申請書に捨印を押しておけば、手書きで修正がきくので便利です。ただし、登記原因証明書は売主が用意するものなので自分の捨印では効力がありません。
  2. 登記相談 法務局では司法書士による予約制の登記相談を受け付けています(無料)。提出前に予約をして書類に不備がないか確認をしてもらうと安心です。僕もこの制度を活用しましたが、何箇所か指摘を受けて修正したのでお願いしてよかったです。
  3. 登録免許税 登録免許税の計算は[固定資産税の評価証明書記載の価格×2%]で、下2ケタは切り捨て100円単位にするのですが、農地の場合は課税価格が非常に低いので数百円になることが多いと思います。登録免許税の最低金額は1,000円とされているので、上述の計算結果、金額が1,000円未満であった場合は、その登録免許税は1,000円になります。

まとめ

土地の売買に伴う所有権移転登記の方法については、様々なサイトで詳しく解説されていてとても助かりました。参考にしたサイトをいくつか紹介いたします。

所有権移転登記の完全マニュアル|自分でできる?費用は? 自分で登記に挑戦 ①土地の登記編 – asa飛行機、陸マイラーの旅 個人間での売買:所有権移転登記を自分で|必要書類や手続き

一方で、僕のように「農転」がある場合については触れているものがなかったので、同時に手続きをした方が頼んでいた司法書士さんや登記相談の方に助けられました。プロに頼むか、自力で行うかは費用と手間・リスクを考慮して検討してください。

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