11月3日にムシャラフ大統領による非常事態宣言(朝日新聞では戒厳令)発令、続いて暫定憲法令公布によって生存権、身体の自由を含む国民の基本的人権が一時停止されるという大変な状況になっているパキスタン。
ちょうど同時期に日本では大連立構想→小沢代表辞意表明という大ニュースが起こってしまったために主要紙では扱いが小さく国際面にしか載らないが、ラホールなどで抗議活動に参加した弁護士数百人が拘束されるなど混乱は続いているようだ。人権を停止された状態でデモや抗議を行うということには大変な勇気がいることだろう。
不幸中の幸いでインターネット回線は生きていて、イスラマのオバハンのBlogも読むことができるし、英字紙DAWN(ネット版)も見ることができる(オバハンBlogによると、これは知識層や外国人への好印象を狙って英字紙のみに「自由な論調」を容認したものらしい)。
アメリカもライスさんが直接ブッシュのメッセージとしてムシャラフに陸軍参謀長を辞任し、1月に選挙を行うことを電話で要請するなどして事態の沈静化を図り、ムシャラフも月曜に各国の公使約100名を集めて近いうちに民主主義体制に戻るであろうと伝えており、やや態度が軟化しつつあるようにも見える。
どういう形でこの混乱が収束していくのか見当がつかないが、大統領が憲法を停止して国民の基本的人権を奪うということは独裁者の暴挙そのものであるし、もっと日本を含む諸国が非難や制裁の声を上げてもいいように思うが…やはり、西側諸国にとっては今までムシャラフがイスラム国の中で親米・同盟の立場を取ってきた手前、厳しい態度は取りにくいのだろう。
この数年、賛否両論ありながらもバランス感覚を発揮して何とか国を回してきたムシャラフにも今年に入ってからは手詰まり感を感じさせる強引なやり方が目立ってきたように感じる。この強引さによってパキスタンの民衆の血が流されることがないように心から願います。
本日の1曲 Megadeth「Peace Sells」
コメント