アフリカでケニア・ナッツ・カンパニーをはじめとする会社を起業し、25万人もの人の生活に影響を与えた日本人佐藤芳之氏が若い人に贈るメッセージ。本書を読んで何がいちばんインパクトがあったかというと、75歳で同窓会に出て「昔の話じゃなくて、これからの話をしよう」と言える前向きさです。こんなじいさんになりたい!としびれました。成功者が自分のやってきたことを振り返る本はあふれていますが、著者は年をとっても貪欲に新しいことに挑戦し続け、そして、君ならもっとやれると若い人の背中を押し続けています。
歩き続ければ、大丈夫。—アフリカで25万人の生活を変えた日本人起業家からの手紙 | ||||
|
若者の応援をすることについて、著者はこう書いています。「何かやりたいけど、それが何か分からない、始めてはみたがうまくいかない。自身がそうだったから、夢はゆっくり追いかければいいんだよと声をかけたくなる。」「人生は長く、40代でも気づかなかったこともある。30過ぎてやっと自分のやりたいことがおぼろげに見えてくる。そこから本気の選択をすればよい。」。
若者と書いてきましたが、75歳の著者の言う「若者」は学生や20代の青年に限ったことではないようです。40歳でも50歳でも挑戦するのに遅すぎることはないというメッセージが、自身が68歳のときに育て上げたケニア・ナッツ・カンパニーをケニア人にタダ同然で譲渡し、ルワンダに移って新たな事業を立ち上げたことから伝わってきます。
以下、本書で覚えておきたいことの抜粋です。
・やって後悔することさえまずない。やるしかない。ただし、実現可能性がゼロの夢はダメ。自分の中で100%できると、思えることに挑戦する。
・不安はスパイスのようなもの。ない方がいいが、全くないとつまらない。
・本気にさせるのはオーナーシップ。他人事と思っているうちは本気を出していない。オーナーシップさえあれば、自然と仕事は楽しくなる。
・必死ではなく夢中でやる。楽しい努力をしたときに人は伸びる
・フットファースト、考える前に動く。人は、走りたくない人と走りたい人の2種類だけ。動けば偶然の方から歩み寄ってきて必然に変わる。動けば必ず問題が出てくる。そして、夢中で問題と、格闘していると必ず力になってくれる人が現れる。
・”If you build it, they will continue me” モノができて初めて、コイツは本気だと分かると人がやってくる。
・足りない力を補うのではなく、伸びそうな力を発揮する。才能は適材適所で一気に開花するもの。やりたいことをやりたいようにやることが成長を加速させる。よりよい自分に、なるために仕事をする。正しい場所じゃないと思ったら3年待つ必要はなく、次を探せばいい。
・そろそろ終わりだなと感じる時がくる。その時は躊躇せず、次の一歩を踏み出す。
・新しいことにチャレンジしたら9割は失敗するもの。失敗が一つもない人生は、何もやってないのと同じ。
・異文化間の相互理解は不毛。人は理解ではなく共感でつながる。アフリカでは言葉は風。場当たり的に言葉を使うのが普通。約束は守られないものと思っておく。
・本物であること。時間のスケールを外して夢を描いてみる。「だから、何?」と言わせないものなら自分で完成できないことでもよい。過去にも未来にもとらわれず今を生きる。
まとめ
本書で僕が強く感じた著者のメッセージは
- 失敗を恐れず、やりたいことを夢中でやってみよう。
- 健康であれば挑戦に年齢は関係ない。
- 本気でやれば、自然と周りが助けてくれる。
の3つです。著者は、なぜアフリカを選んだのかという答えの1つに、日本は起業をするハードルが世界で最も高いのではないか、と述べていますが、僕の実感でも、確かに途上国では選択肢のない生活を強いられている人がほとんど。選択肢のある日本人が新しいことを始めるチャンスはまだまだ転がっているのかもしれません。トライアジアグループの横井氏といい、こうして海外で活躍されている日本人はけっこういらっしゃるのですね。日本で講演をなさる機会があったらぜひお話を聞いてみたいです。
歩き続ければ、大丈夫。—アフリカで25万人の生活を変えた日本人起業家からの手紙 | ||||
|
世界は僕らの挑戦を待っている (角川フォレスタ) | ||||
|
コメント