Day305 壁画デー

6時過ぎに起きてリキル・ゴンパの本堂へ行ってみるが朝の勤行は行われていなかった。このゴンパでは朝夕の勤行はないようだ。小僧のほうがずっと忙しく(笑)、7時からお茶、それから読経開始だった。
7時半にバスが出るというので、7時過ぎに荷物をまとめて小僧たちに「ジュレー」と言ってバスを待つ。朝のバスは7時と7時半と2本あるようだ。レーへ向かう幹線道路へ出たところで下車、反対方向のサスポルへ向かう。レー8時発のアルチ行がここに来るまでにはまだ1時間半以上あるのでサスポルまで9kmの道のりを歩くことにする。全体的に下りでショートカットも多いため1時間15分ほどでサスポル到着。緑が豊富で静かな村だ。ここにはいくつかのゴンパと石窟があるのでそれらを見てからアルチへ向かうことにした。途中、シーク教徒のインド兵オヤジが兵舎に招いてくれ、朝食とチャイをごちそうになる。
道を聞きながら村の奥にある石窟へ向かう。この静かな村には杏が多く(残念ながら花はほとんど散っていた)、水路もあるので「インドのフンザ」と命名することにした。たぶん同意してくれる人も多いと思うのだが…

10時頃石窟寺院ニダプク・ゴンパ到着。メインの石窟には扉がついているが施錠はされていない。ほとんど来る人はいなさそうな雰囲気だ。思ったより狭かったが、目が暗闇に慣れてくると漆喰の壁に描かれた細かい壁画に驚嘆する。おびただしい数の仏、曼荼羅が壁一面に描かれている。まさに知る人ぞ知る石窟だが、人が大勢来るようになったらこの管理では(触ったり、フラッシュをたいたりする輩が現れ)すぐだめになってしまうだろう。石窟前から眺めるサスポル村全景と遠くアルチ村の景色も素晴らしく、しばらくぼへーっと休憩していた。
サスポルの道路沿いまで戻り、茶店でアルチ行バスのスケジュールを聞くが、やはり夕方のレー発しかないので歩くことにする。サスポル〜アルチの直線距離はたいしたことないのだが、間にはインダス川があり橋はサスポルの西1.5kmのところにしかない。そして、そこからアルチへは5km東に戻るような感じなので、精神的に歩くのが嫌になる。が、夕方のバスを待つにもあと6時間以上あるので歩かざるをえない。橋を渡ったところでしばらくヒッチ狙いの休憩。幸い、10分ほどで車が停まってくれ、アルチまで楽勝で行くことができた。ヒッチ代は要求されなかったが10Rsを渡しておく。実はこの車のドライバー兄ちゃんと乗っていたおばちゃんは予定していたゲストハウスの人でそのまま宿へ案内された。だったらヒッチ代要らなかったなぁ(笑)。
サスポル、アルチはだいぶ標高も下がり暖かいので数日ぶりに水浴びして体を洗う。一休みして、ラダック随一の仏教美術の宝庫といわれるアルチ・チョスコル・ゴンパへ向かう。ここはラマが1人しかおらず、ゴンパというよりは美術館に近い感じだ。拝観料25Rsもばっちり取られた[:たらーっ:]
先に開いていたロツァバ・ラカンとジャムヤン・ラカンを見る。ここの壁画は千仏画が主だが雑なタッチでイマイチ。ジャムヤン像は四面それぞれ金白赤青と着色されているが、その表情といい色具合といい漫画チックなヒンドゥー神を思わせる。続いてラマにドウカンを開けてもらう。本尊のナンパ・ナンツァ(毘盧遮那仏)とそれを取りまく菩薩像も素晴らしく、曼荼羅を中心とした壁画も繊細でため息モノの出来だ。ラマものんびりしていたので時間をとって拝礼、見学させていただく。お堂を出たところにもスペースがあり、チャンバ像などのある小部屋、ガラスケースに入った砂曼荼羅などがあった。なお、このゴンパは写真撮影不可だが、部分的にラマに許可をもらい何枚か写真を撮らせていただいた。続いてスムチェクという3階建ての変ったお堂へ。入口の三角アーチなどからして独特の造りだ。1階のお堂に入ると中央にチョルテンがあり、入口を除く3方は壁がへこんでいてそれぞれチェンレジ(観音菩薩)、チャンバ(弥勒菩薩)、ジャムヤン(文殊菩薩)と日本でもなじみの深い菩薩像が立っている。菩薩像は着色されており、上半身は裸、下半身にまとった衣には細かい絵が描いてある。壁画は千仏画が中心だが、菩薩が納められたくぼんだスペースにはとりわけ繊細な絵が描かれていて素晴らしい。ここも懐中電灯持参で時間をかけて見学させていただいた。この後、少し新しいラカン・ソマを見学するが、ドゥカン、スムチェクを見た後だとここの壁画も雑に見えてしまう。
ゴンパを出て宿に戻り一休み。夕方近くなって村にあるもう1つのゴンパであるトゥジェチェンポ・ゴンパに行ってみる。幸運にもちょうど世話をしている村のおじさんが鍵を開けていて拝礼させてもらうことができた。ここの壁画は曼荼羅ばかりで圧巻。曼荼羅に詳しい人には垂涎モノだろうが、僕にはカーラチャクラくらいしか見覚えのあるものがなかった。保存状態が悪いのが残念だ。このゴンパを出てから村を散策。アルチ村もサスポル同様、緑が多くのどかな村だ。ばあちゃんはティビ(ラダックの山高帽)をかぶっている人が多い。村を一回りしてから宿に戻る。今日は予定通りにコトが運び、多くの壁画を見ることができた幸運な1日だった。

本日の1曲 SADE「Cherish The Day」

↓ニダプク・ゴンパの石窟壁画

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