【読書メモ】『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』(ピョートル・フェリクス・グジバチ著 クロスメディア・パブリッシング刊)

僕が苦手としていることの1つが雑談です。そもそもビジネスの話をしにきているのに雑談は時間のムダではないかという気持ちがあることに加え、どうも無理して話題を作っている感がぬぐえませんでした。

そこで本書を読んでみたわけですが、雑談の目的が相手とラポール(信頼関係)を築くことであることががクリアになり、その目的に向けた話を考えていこうという気持ちになりました。雑談に苦手意識を持っている方は読んでみることをお勧めします。

本書でいちばん重要だと感じたこと

日本のビジネス上の雑談は、何となく、天気や元気ですかといった話になりがちだが、海外ではもっと踏み込んで相手とラポール(信頼関係)を築くことを意図している、ということがよく分かった。
とはいえ、相手が日本人の場合は、実際、そこまで踏み込むのはちょっと難しいように思えるが、今までの雑談をどう有意義なものに変えていくのか考えてみたい。

覚えておきたいポイント

  • 世界基準のビジネスの最前線では、明確な意図を持ってそこに向かって深みのある会話ができる人が雑談がうまい人とされている。小手先のコミュニケーションスキルではなく、目の前の相手にどうしてほしいのかを理解してその場にふさわしい雑談をすることが求められる。
  • 海外では雑談を通して自己開示していくことが大事だと考えられている。その前提として必要なのが自己認識。つまり
    1. 価値観: 何を大切にしているのか
    2. 信念: 何が正しいと思っているのか
    3. 希望・期待: 何を求めているのか
    この3つのポイントを明確に自分の中に持つことが大事。
  • 自己認識して、次に自己開示、そして自己表現と言うプロセスを認識することが必要。
  • ビジネスの場で交わされる会話は全て営業行為と考える。相手の話の良し悪しや好き嫌いで判断するのではなく、なぜそのように考えているのかを肯定的に知ろうとすることが必要。もう一つエンパシー(共感)。相手が何を考えているのか、どう感じているのかを想像しながら話を聞くことが必要。
  • 個人対個人の関係を築くことを考える。そのためには事前に情報を集めて鋭い質問を投げかけることが重要。もう一つは教養。グローバルな視点と国の枠組みを超えたトランスナショナルな考え方を持てる相手かどうかを判断されていると心得る。
  • 日本人は、日本の歴史や伝統についてあまりにも無関心な人が多い。日本であれば外国人だからといって、いきなり英語で話すのは失礼。英語で話したらいいですかと言う確認の言葉をかけた上で、相手の希望に応じて英語を選択することが必要。
  • 雑談を苦手と感じている人は、何を話すかを考える前に、何のために相手に会うのかという根本的なテーマを改めて確認する必要がある。テーマの整理ができれば雑談のための準備の方向性も見えてくる。
  • 職場内での雑談は無駄話ではなく、雑談をしていたチームの方がパフォーマンスが高いというエビデンスもある。笑い声が聞こえていない会社は問題があると考えてよい(仕事で成果が出ていなければ人は笑うことができないし、それを許容する雰囲気もできないから)。
  • 日本企業のマネージャーの多くは、仕事の状況やアジェンダに目を向けがちだが、海外企業の場合は部下の思いを大切にする。このプロジェクトで具体的に何が楽しいか?レポートを楽しみにしています、といった部下のモチベーションがアップするような対話を心がける。
  • 海外でも日本でも優秀なリーダーほど謙虚な姿勢で部下と向き合っている。マネージャーもメンバーに弱みを見せていい。何かをミスをしてしまったら「ごめん失敗した」と正直に伝えること、困っているならば「悪いけど助けてほしい」と素直に頼むことが必要。マネージャーが自分の弱みを積極的に開示できることで、話し合いの感情が生まれる。
  • 仕事熱心なマネージャーほどマイクロマネジメントをやりがち。
    次の5つのポイントをチェックしてみる。
    1. 社員への口調や態度が横柄になっていないか
    2. 若手社員の考えやアイディアを尊重しているか、
    3. 些細な問題点ばかりを指摘していないか
    4. 小さなミスを徹底追求していないか
    5. 良い仕事をしたらそれを認めているか
    思い当たることがあれば、思い当たるポイントの真逆の行動をとればいい。
  • マイクロマネジメントの反対はマクロマネジメント。チームの方向性を示した上で、メンバーの自主性を尊重し、やり方を任せることで、モチベーションを高めていく。
  • 上司は常に業務の進捗状況が気になるので、メンバーは過不足なく、必要以上に細かく情報発信するコミュニケーションを意識することがマネージャーを安心させる。報・連・相をきちんとしている方が、過干渉が回避できて、自分のペースで仕事ができる。
  • ビジネスの相手との雑談では、3つの確認作業をすることが必要。
    1. 相手の状況確認
    2. ビジネスの状況確認
    3. 新たに必要となる情報の確認
  • 日本のビジネスマンは相手に遠慮するため、決定までの流れをあいまいにしたまま商談を進めることが多い。誰が意思決定者になるのか、意思決定の障害になる要因は何か、等は雑談の中で聞き出しておく。
  • 雑談を通して、ライフタイムバリュー(生涯価値)を高めることが必要。長期的に成果をあげられるような関係を築ければ、新規獲得やノルマに悩まされることもなくなる。
  • 相手と対等な関係を作るために、お互いの共通点を見つけるアプローチが有効。相手にとって必要不可欠な存在になれば、平等なビジネスパートナーとして、信頼関係を結ぶことが容易になる。大事なのは、相手に興味や好奇心を持って接するという姿勢。
  • 相手と信頼関係を作るための三原則。
    1. 相手が何を大切にしているかを知る。
    2. 相手が何を正しいと思っているかを知る。
    3. 相手が何を求めているかを知る。
  • 人間は自分に興味を持っている相手には好意を示すもの。遠慮せずに質問をすることが重要。相手に興味を持って自分が興味のあることを相手に質問すれば、エグゼクティブであっても答えてくれる。
  • 聞きにくいことを質問するときは「素朴な疑問ですが」、「少し話が脱線しますが」「お気を悪くされたら恐縮ですが」、といった枕詞が有効。
  • 雑談で知った情報は次にどう活かすかという視点を持ち、雑談の内容はしっかりと覚えておく。
  • 相手を理解するための深い雑談に必要な3つの要素は、
    1. 好奇心
    2.知識
    3.経験

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