【読書メモ】TEDトーク 世界最高のプレゼン術(ジェレミー・ドノバン著 新潮社)

TED(Technology, Entertainment, Design)で公開されている無数のプレゼンを研究し、どうすれば聴衆の心を動かすスピーチができるようになるのかをまとめた一冊です。スピーチの内容、構成、キャッチフレーズ、スピーカーの紹介、オープニング、クロージング、コミュニケーション、スライドに至るまでプレゼンに求められる要素ごとに的確なアドバイスが満載。なお、著者のジェレミー・ドノバン自身TEDに出演しています。

Webで公開されているTEDビデオが多すぎて、どういうプレゼンが見本となるのか分からないという方にも、著者が文中多数のTEDトークを紹介、引用し、その素晴らしい点を明示しているので、TEDを見るための本としても有用でしょう。以下に本書で紹介されているTEDトークのリンク付リストを掲載しました。

著者は、TEDプレゼンターを「驚くべき偉業を果たした人たち、あるいは並外れた才能に恵まれた人たち」と「自分の身に起こった驚きのストーリーを語ってくれる人たち」の2種に大別し、後者であれば誰でも語るべきストーリーを持っている、ただし、問題はストーリーをたくさん持ちすぎていることである、と述べています。確かに、たった1回のチャンスと限定して考えれば、自分が情熱を傾け、聴衆を惹きつけられるストーリーは見つけられるような気がします。

以下は、覚えておきたい部分の抜き書きです。

内容・ストーリー・構成

  • 聴衆の心を動かすスピーチをするためには、目的地=スピーチが終わった時点で聴衆にどうなってほしいかを明確にイメージする。何か行動を起こす意欲が湧いてくるようなインスピレーションの種を1つ蒔いておく。
  • ヒーローは自分以外の誰かにする。
  • 何より大切なことは核となるアイデアをはっきりさせること。まず聴衆に伝えたいメッセージをひとつ選び、そのメッセージに情緒的な深みを添える何か目をみはるような経験はないか頭のなかを探しまわる。
  • 核となるアイデアを基本フレーズやパワーバイトに転換し、繰り返し口にする。印象的なキャッチフレーズは3ワードから12ワードに収める。
  • プレゼンターの紹介文は自身が用意すべし。その内容としては、1.プレゼンで伝えられるコアメッセージに関係している、2.聴衆を主体に作られている、3.プレゼンターがいかに信頼できる人物かを伝えている、ことが求められる。
  • オープニングはもっとも聴衆の集中力が高いとき。自身のパーソナルストーリーを語るのが有効。
  • 聴衆の注意を惹くための手法 1.ショッキングステートメント(衝撃的な事実の提示)一般的な社会通念から外れた統計値や意義を唱えるような力強い意見を打ち出す 2.「なぜ Why」「どうしたら How」から始まる質問を使う。
  • ポスト・オープニングでは、スピーチを聴くことで聴衆は何を得られるか、それにはどのくらい時間がかかるのかを述べる。
  • メインパートを3つの構造に分ける。(分け方のパターン 1.現状-問題提起-解決、2.時系列、3.アイデア・コンセプト提起)
  • スピーチに影響力を持たせるには、論理的な事実と感情に訴えかけるストーリーを上手に組み合わせる。
  • スピーチの締めくくりには、聴衆が正しい方向に動き出せるように、今日にでもできる簡単な次のステップを示す。読書感想文的なまとめや最後になって新たな材料を出すのは最悪。
  • ストーリーを語る際は、欠点や複雑な事情を抱えたどこにでもいそうなキャラクターを登場させ、その行動を追体験させることで聴衆をストーリーに惹きこむ。
  • 苦難を克服し、ハッピーエンディングになるパターンがお勧め。悲劇で終わる場合は、どうすればその悲劇を避けられたかを話す。

伝え方とスライドデザイン

  • 小学6年生が理解できるレベルの言葉を使う。
  • 「えーっと」「あのー」といったfiller wordsを防ぐには”一気に話し、適度に間を置く”のが有効。
  • 情景が目に浮かぶような五感に訴えかける言葉と「あなた」をふんだんに使う。
  • 自虐的なユーモアは簡単かつ、効果絶大。1分間に1回くらいジョークを入れる。
  • 人を攻撃するジョークとどこかで聞きかじったネタはぜったいに使わない。
  • 基本姿勢は、両手を楽にして身体の脇におろしておく。
  • 笑顔を絶やさず、聴衆の全員に一度は話しかけるようにアイコンタクトする。
  • スライドは使わないのが最善の選択と心得よ。
  • スライドを使う場合、クリップアートの使用はぜったいに避け、アニメーション、動画は最小限にする。
  • スライドで使うフォントは1つが基本、複数使う場合は同じファミリーで統一する。
  • 会場へは早めに到着して下見をすます。冒頭だけは暗記したほうがよい。後はスピーチの概要を書いたメモだけ。

本書では、上記のポイントを視聴できるTEDトークの例を示しながら説明している箇所が多く、非常に具体的かつ有効です。スピーチ、プレゼンの機会がある方は本書を読みながらTEDトークを見るのをお勧めします。

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