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【読書メモ】ブッダの集中力(アルボムッレ スマナサーラ著 サンガ新書)

スリランカ仏教界の長老アルボムッレ スマナサーラ師の初期仏教法話シリーズの1つ。仏教と集中力のつながりというと坐禅、瞑想が思い浮かぶが、本書はそれだけではなく、集中力が危険なものでもあるなど変わった視点からも説かれている。

まず、師は「集中力とは、こころに入ったものがべったりとくっついて離れない状態」と定義する。なるほど、分かりやすい。そして、次に集中力を分類する。

1. 動物の遺伝的、先天的なな集中力…いわゆる本能(個人的にはこれを集中力と呼ぶのか疑問だが…)
2. 感情的な集中力…欲や怒りによってこころがべったりと対象にくっつく状態
3. 理性による集中力…仏教が説く集中力

2の集中力について少し引用すると、人間には生まれつき3つの先天的感情が備わっている。それが三毒「貪・瞋・癡(とん・じん・ち)」(それぞれ、欲、怒り、無知を意味する)。これらが備わっているから、人間は本質的に不幸になるようにできている。だから幸福になるためには努力が必要。そして、感情はコントロールが困難なので集中力のコントロールも当然難しい。

・集中力の秘密
能率を気にしない…考えない効率を考えた途端に集中力は消える
集中力は楽しい…集中するから楽しくなる

このあたりまではよく理解できるのだが、大事なトレーニング法について触れる後半が問題なのだ。

一番の問題は、集中力を育てる方法として紹介されている「サマーディ瞑想」のやり方がよく分からないこと。出家者には分かるのかもしれないが、在家の人間に「天人師」を念じ瞑想すると言われてもピンとこない。しかも、瞑想に挑戦する前になぜブッダは天人師であるのかを調べましょう、と書いてある。

翻訳の問題なのか、どうも大事な部分がよく伝わらないという印象。この瞑想を仕事の前に10分やると集中力150%なんてイメージで読むと間違いなく失望するが、仏教的な生き方を学ぼうとする方にはよいのかも…

全体を通して著者の比喩が極端、初期仏教の正しさアピールに過ぎ他の宗教への攻撃が激しいのも気になる。ダライ・ラマ法王ならこういう書き方は絶対なさらないはず。

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