【読書メモ】サクッと起業してサクッと売却する(正田圭著 CCCメディアハウス)

軽いタイトルですが、起業して株式会社を設立するということは、売買を前提としていることを再認識することになりました。著者の言う通り、会社を経営しても役員報酬を得て満足しているのでは雇われているのと大して変わらないと言えるかもしれません。非上場株式会社のオーナーになるということは、自分の会社に投資をしているのであり、経営者であると同時に株主の目線を持っていなければならない、むしろ株主目線の方が重要ということは見落としがちな事実でしょう。
以下、本書で覚えておきたいことをメモします。

覚えておきたいこと

アルバイトを経験すると「雇われ癖」がつく
確かに経営者視点が養われず、時間を売ってお金と交換する意識に染まってしまう。著者の言う通り「お金と時間の両方を手に入れる方法を考える」ことが重要。本書のテーマである「起業して会社を売る」ことはもちろん簡単ではなく、リスクもあるが学生にとっても有力な選択肢だ。

起業のアイデア
とはいえ、起業は簡単ではない。10年続く会社は少ないという事実がある。利益を出せる会社をどう作るかということが高いハードルになるが、著者は「起業のアイデアはコピペでよい」、儲かっている商売、成功している人のマネから入ればよい、と簡単に言い切っている。
起業に必要なのは独創性、想像力ではなく、業界や業界構造に関する知識、市場のニーズに対する認識力、状況を分析し意思決定する判断力だという。そうした知識を養う材料として、著者はかつて帝国データバンクを本のように読んでいたという。その他の情報源としては、金融庁のEDINET、クランチベースなどが紹介されている。
また、起業して早々に事業分野を絞り込まず、柔軟に方向転換できるようにしておくことも大事である。そして、投資家とコミュニケーションをとって進めていく。事業計画は短期間で作り、見直しに時間をかける方がよい。

人に頼むのはよいが、頼ってはいけない
一緒にビジネスをすることと同じ船に乗っていることは違う。今は同じ方法に向けて進んでいる船に乗っているだけ。従業員も自分が思うよりビジネスライクである。起業家は孤独であるだけに、ここを間違って人間関係で足を引っ張られることが多いらしい。

まとめ

起業に関する本はいくつか読んできましたが、それらの多くは経営者目線(いかにお金を集めるかという話も多かったですが…)で書かれたものでした。本書は、経営者という視点よりも投資家・株主の視点ででいかに会社の価値を高めていくかという部分にフォーカスしており、「会社は自分の作品である」という著者の考え方には非常に共感できました。

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