2011イタリア旅行(Day7)

今日は、ギリシャ遺跡で名高いへ行ってみる。朝8時のバスに乗るべく、本当は8時から朝食なのだが食べられるものだけでも、と食堂のお姉さん方に急いでもらう。持って行ける菓子パン類もしっかりもらって駅のバス停まで急ぐ。ギリギリ間に合い、無事乗車。バスは島の真ん中の山岳地帯を抜けて南の海岸へ向かう。

パレルモからアグリジェントまでは約100キロちょっとだが、Autostradaではないうえ、山越えでカーブも続き昨日ほどスピードは出ない。しかし、車窓からの景色はやはり抜群で、岩山にかこまれた丘陵地帯の風景を楽しむ。鳥の集団がバスとつかず離れず飛んでいったり、羊の群れに出くわしたり、牧歌的な景色が続いていたが、山に入ると霧が濃くなって視界数十メートルの世界になる。

また尾根線には風力発電の風車が連なっていて、南に行くにつれかなりの規模になる。途中には太陽発電のパネルがずらっと並ぶところもあり、シチリアはイタリアの中でもクリーンエネルギーの重点開発地区なのかもしれない。どの風車も海からの風を受けてよく回っているので、適しているんだろう。

空間が開けたなと思ったら山の斜面に高層マンションがぎっしり張り付き、岩壁がそのままマンション群になったような街が現れた。なんと、そこがアグリジェントだった。街へ向かう幹線道路はかなりの高さの橋脚に支えられ交差していて谷底を見るとちょっと怖い。かなり未来都市の雰囲気で、アグリジェントが遺跡の街だという先入観がぶっ飛んだ。

何はともあれ、10時には着いて、すぐに同じターミナルから市バスの3番でギリシャ遺跡群へ向かう。ここはやはり観光客が多いのか、バスの切符売りのお姉さんは英語OKだった。シチリアでは珍しい英語対応。

ミニバスサイズのバスの乗客はほとんど地元の人らしい。ターミナルから坂道を下って5分もいかないうちに左手に遺構が広がる公園が見え、前方に神殿跡の柱が並ぶ丘が。あとで気付いたけど遺構の公園はヘレニズム・ローマ時代の遺跡群らしい。さて目当ての神殿はすぐ見えたものの、はて、バス停は…?
あぁどんどん遺跡から離れていくと、慌てて降車ボタンを押したものの、全く停車することなくバスはあれよあれよとどんどん郊外へ走り去っていく。もうゆうに数キロは過ぎた所で、とにかくヒッチでも戻るしかないかと思って降りようとしたら、ドライバーが、「神殿ならこのまま乗っておけ」というので再乗車。

よくわからないが、いずれにしても元来た道を戻るしかなさそうなので、言うとおりにする。たまにやっちゃうけどね、こういうの。しかし、時間なんかどうでもいいバックパッカーの旅ではないので貴重な時間がもったいない。バスは海に近いリゾートエリアのターミナルで折り返すらしく、しばし休憩。結局来た道に戻り、通り過ぎてしまった遺跡公園入口で降ろしてもらった。

目の前はギリシャの神殿都市、振り返れば現代の高層都市。これもアグリジェントの面白いところだ。このコントラストは来てみないとガイドブックでは分からないだろう。「」とよばれるエリアは世界遺産に指定されていて、入場券(10ユーロ)を買ってゲートをくぐる。名前は「谷」だが、丘に連なる神殿から裾野をたどって開けた先に紺碧の海が見え、感動的な美しさ。

まずは最大規模ながら未完成のままカルタゴの戦争と後世の地震で倒壊したというジュピターの神殿を見学。基壇の周囲には人型の柱(巨神兵と勝手に名付ける)や倒壊した柱が広範囲に散らばっている。ドーリス式というのか、下部が太くなっている縦に溝のはいった柱は、四つくらいの部分に分けて積木のように重ねたのだろうか?散乱している柱はセロリの輪切りのようでもある。


神殿はどの柱も茶色がかっていて、地面の色と同じ。少し雰囲気のちがう基礎の部分なんかの石には貝殻が沢山埋まっている。貝塚もあったのだろうか?ジュピターから少し離れたところにあるカストルとポルックスの神殿は、四本くらいの柱が立っていて、それが神殿の角の部分だというのが分かる。周りを建物の遺構が取り巻いていて、その昔にはどんなに立派な神殿都市だったのかなと想像が膨らむ。


二つの神殿を巡ってから、バス通りを渡ってエルコレ(ヘラクレス)神殿と、コンコルディア神殿へ。馬車の通る轍のある遺構などもある。歩くと結構広いけれど、景色を見ながらゆっくり見学。今日は本当に日差しが強く、日焼けしているのが分かる。2月頃から咲き始めるというアーモンドも、たまに早咲きの木が花をつけている。






コンコルディア神殿は6世紀にはキリスト教会として使われたのが幸いして保存状態が良いそうで、屋根のほかに鐘が吊られていたような部分もある。なぜかコンテンポラリーアートが神殿内に設置されているのが気になる。正面から見るとまるでUNESCO世界遺産マークそのまんまだ(笑)


身重の連れはここで休ませて、一人で一番奥にあるヘラ神殿へ向かう。コンコルディアに近い雰囲気だが、少し高いところにあるので、ここから振り返ると神殿が道沿いに見え、まさに聖域(サンクチュアリ)の雰囲気、ヘラがアテナ神殿とすればコンコルディアが双魚宮、エラクレが宝瓶宮になるわけだ。

改めて振り返ってみると、けっこう歩きがいのある広い遺跡だな。この神殿の谷はいろんな鳥がオリーブの木やアーモンドの木でさえずっていて、見ても聞いても、小鳥の楽園のようだ。ひと足早い春を満喫。

神殿見学を終えて、次は州立考古学博物館へ。登り坂を20分くらいと歩いていく。博物館隣接地のサント・ニコロ教会はやはり海を望むロマネスクの教会。残念ながら中には入れなかったものの、教会前から博物館までは、ギリシャ時代の議会跡を通って繋がっている。議会跡は円形座席となる石が並べられていて、ギリシャ劇場ほどの規模ではないが200人くらいは入りそう。2000年以上前の民主主義政治の現場なんだなぁと思うと感慨深い。




博物館は、石器時代からの遺物が展示されていて、アンフォラや絵入りの壺、日用品やアルカイックスマイルの飾りなどが山ほどある。アルカイックスマイルをうかべた女神像なんかは型も出土していて面白い。壺の類はギリシャらしい神話の絵模様も素晴らしいが、B.C.15世紀のシンプルなストライプや手描きの文様の土器も違った趣がある。

この博物館は、神殿と共通入場券で入れるので神殿見学を終えたらしい一行が同じように見学に来るけれど、展示のメインを飾るジュピター神殿の巨神兵を見ると後はどうでもいいらしい(笑)。かなり広いので気持ちは分かるけどね。現場から移されて、実際に立てられて展示されている柱はとても迫力があるが、腹筋をしてる巨人に見えるのは僕だけだろうか?


ゆっくり見ているうちに3時近くになり、もうそろそろ街へ戻らなければ食事をとる時間がなくなってしまう。市バスで街に戻り、さて何か食べようとお店を探すものの、やっぱり閉まっているところが多くてウロウロする。結局、時間も半端だし、アグリジェントでは軽くお腹に入れてパレルモでちゃんと夕飯にしようということになり、教会前のカフェみたいなところに入る。

どこもそうなのだが、ここも昼間は電気を消していて、一瞬休みかと見間違う。入るとショーケースの電気をつけてくれのだが…シニョーレとマンマの二人でやってるらしいお店で、パニーノ類からパスタ、リゾット、ケーキまで一応一通りだしてくれる。

スイーツ好きの連れは、昨日に引き続きカンノーロ。ピスタチオクリームのやつを食べていた(ちょっと高いのだ)。僕は、シチリア名物のライスコロッケ「アランチーナ」とカプチーノ。肉入りアランチーナはちゃんとあたためて出してくれる。ウマイし、ボリュームもある。


バスの時間まであと30分くらいだけど、最後にサント・スピリト修道院をのぞこうと、迷路のような細い坂と階段を歩いて建物を探す。かなり迷って道を聞きながらやっと見つけたら、ここも閉まってた。シチリアではほとんど教会が見られない。別の観光客が管理人?のおばあさんを連れてきて「これから開けてもらうけど…」って言ってくれたが時間切れでバスターミナルへ戻らなければ…名残り惜しいが断念。うーん残念。

4:30のバスでパレルモへ戻る。乗客は半分くらい。ピンクの夕焼けを楽しみながらアグリジェントにお別れ。陽が暮れてだんだんと山の影も見えなくなるにつれて空には星が増えてくる。山の中ならきっと見事な星空なのだろう。

帰りのバスルートはちょうど宿の前を通るので、良いところで降りられた。いったん部屋にもどり、本日の夕飯は近所のピッツェリアのトンノ(ツナ)ピザ。オーダーを受けてから釜で焼き上げてくれる。カルフールでまたシチリアワインも仕入れて、オリーブオイルたっぷりのまだ温かいピザに2人でかぶりつく。シンプルながらうま~い。ホント凄い量のオイルなんだけど、イタリアだとなんとなくこんなもんかなと思って美味しく感じるから不思議(笑)。結局まともに外食する機会が少ない2人でした。

本日の1曲 「Have You Seen The Bright Lily Grow」

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