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【読書メモ】カイジ「命より重い!お金の話」(木暮太一著 サンマーク出版)

『カイジ賭博黙示録』を題材にマネーリテラシーについて書かれた本ですが、カイジを読んだことのない人(僕もそうです…)にも、お金について学ぶには非常に分かりやすく、そして(ここが大事だと思うのですが)危機感を感じさせてくれる良書です。高校生向け「お金の教科書」にすれば、お金についての教育がなされない日本では画期的ではないかと思います。

 

僕自身は、浪費型の人間ではないと思っていますし、クレジットカードローンやリボ払いも手を出したこともありません。なので、本書で書かれている半分以上は、当たり前という感覚で読んでいました。しかし、日本人の8人に1人(1500万人)が消費者ローンを利用したことがあり、うち107万人は多重債務者だそうです。こうした事実を知ると、信販会社などがCMを打ちまくる理由がよく分かります。借金への抵抗感を下げると、借りる人は実際、大勢いるんですね。

本書では、なぜ借金をするのか、なぜ浪費をしてしまうのか、という根源的な問題について経済理論や心理学の観点から明確に説明し、元利均等返済方式など金融業者が儲けるために使う利率のトリックについても事例をあげて警鐘を鳴らしています。また、連帯保証人になることがいかに危険か、そして連帯保証人を頼まれた場合にどう答えるとよいか、などなど本当に学生のうちに知っておいてほしいことが満載です。

以下に、特に覚えておきたいポイントを抜き書きします。

  • 日本企業の給与システムは「必要経費型」であるが故に、生活費が少なくて済むと考えられている職種の給与が低い
  • 収入以上に消費する理由は顕示欲、そして「自分へのご褒美思考」で買物をすることは危険
  • 「限界効用逓減の法則」同じ満足感を得るために必要なお金が増えていく=お金を使えば使うほど1円の重みが軽くなっていく
  • 元利均等返済方式では、当初利息分から支払う仕組みのため元本が減りにくく、支払総額が膨らむ
  • 自己破産者の10人に1人は連帯保証人になったことが原因 連帯保証人を頼まれたら「ご家族は何と言ってるの?」と質問すべし
  • 「うまい話」が持ち込まれたときは、なぜ相手はその話を自分に持ってきたのか?を考える
  • サンクコストと機会費用の概念を忘れずに合理的な判断をせよ
  • 買物をするときは自分の労働時間に換算して考える
  • 倹約の積み重ねは意外と小さい

最後に

いちばんインパクトがあったのは、最終章に書かれていた将来への経済的な不安を解消するために貯めるべきものはお金ではなく働き続けられる能力である、という一節です。そのためには変化を恐れず、チャレンジし続ける姿勢を意識的に持つことが何より大事です。子どもが、高校生になったら渡してやりたい1冊になりました。

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