【読書メモ】日本一を目指す物流会社のすごい社員勉強会(大須賀正孝著 日経BP社)

浜松に本社を持つ「ハマキョウレックス」は、もともとトラックドライバーだった現会長の大須賀正孝氏が設立し、2003年に東証1部上場を果たした物流会社です。1990年代に運送会社からいち早く、物流センター業務を行うサードパーティーロジスティクス(3PL)事業に乗り出し、16年連続で増収増益を果たしています。その強さの秘訣と言われる「」と「社員勉強会」「コミュニケーション」など、大須賀流の経営を紹介した1冊です。

medium_9503088227

photo credit: JAXPORT via photopin cc

浜松のホテルで行われる社員勉強会の実録が非常にリアルで、現場の問題とその改善への提言には、”なるほど”と思うところが多々ありました。著者曰く、部下に「やれ」と言うだけの経営を「放漫経営」と言い、実際のところ社員は「やっているフリ」をするだけになり、業績が悪化する。部下は目標を押し付けるだけの上司のことは「じゃ、お前代わりにやってみろ」と腹の中で思っている、という部分が、僕にはいちばんインパクトがあり、耳の痛い言葉でもありました。

「日々収支」は、荷主の売上によって仕事量が変動する(=収入をコントロールできない)物流センターにおいて、支出を管理して日々黒字を目指すというものです。支出の管理で大きいのは人件費なので、主にパート職員のシフト管理の精度を上げることに活用されています。各センターで使用している数字は、本社管理部門の人件費や家賃、保険料など全ての費用を1日当たりに換算して算出されたものなので、各センターが毎日、黒字を追い続けてコスト削減を行うことで会社は自然と黒字に向かっていくというわけです。(実際はこんなに簡単ではないのでしょうが…)

また、著者は、日々収支を行う際に大事なことは「数字をつける」ことではなく、数字を読んで何をするかであると言います。生産性が下がっている場合は、その原因を探り改善しなければなりません。どんな作業でつまづいているのか、どこに負荷がかかっているのかをチェックし、パート職員が働きやすいよう改善するのが社員の仕事で、社員は教える立場の人間として100%仕事を理解していなければならない、「やりながら覚える」ような姿勢ではダメだと説きます。社員にとってはなかなか大変な職場のように感じますが、風通しは非常にいいようです。

以下、重要なポイントを抜書きします。

  • 2重チェック、3重チェックしても、ミスがでるから4重、5重にチェックしようということではなく、「なぜ間違えるのか」を全員で考える。ミスはゼロにするつもりで考えなくてはダメ。
  • 事故も同じ。必ずゼロにするという意識を全員で持つ。そのために「無事故◯日目」と書いたカレンダーを貼って、毎朝点呼確認する。その繰り返しで、自分が無事故記録を止めてはいけないと気が引き締まる。
  • 部下に全てを任せるが、責任は負わせないことでのびのびと育てる。
  • 1つ目標を決めて、机の上に貼っておく。それが達成できたら次の目標を書く。この繰り返しで成長する。
  • ただ社員に「知恵を出せ」と言っても出てくるものではない。全員参加で同じ目標に向かって進み、全員が納得できるようコミュニケーションを繰り返すことで現場改善を促す。
  • 今やっていることを「これが一番よい方法なのか?」と常に検証する。いつも10人で行っている作業を9人にして回るのか、そうした検証の繰り返しで生産性を向上させる。
  • 日替わり班長制の導入で、自分が班長になったときに協力してほしいから他の班長にも協力するようになる。また、「お局様」を作らない効果もある。

「現場の知恵を活かす」というお題目をあげる経営者、管理職は多いですが、それがうまくできているところは少ないのではないかと思います。言葉だけで動くんだったらそんなに楽なことはない、という著者の言葉が重く響きました。部下指導のための具体的な参考書としてオススメの1冊です。

Comments