以前、どなたかの書評で見かけ、あまりページ数もなさそうだし、原書で読もうかなと考えてい本。amazon.comをあたってみたのだが、kindle Editionがなかったので、翻訳版を読んでみた。
(そんなことも知らずに読んだのかよ…とツッコまれそうだが)マザー・テレサが語った言葉として広まった「逆説の10カ条(The Paradoxical Commandments)」だが、これを考えたのは当時19歳の大学生だったということにまず驚いた。19歳にして、世界が全くまともではないことを理解し、真っ直ぐ生きて行くことでどれだけの反発を周囲から受けるかを分かっているとは…有り得ない!
と思ったのだが、読み進めると、彼がどういう経験を通じて10カ条の一つひとつに至ったかという背景が説明されており、だいたい高校生の頃から強い信念を持って自分が正しいと思うことを行ってきた人だったのだということが分かる。(「うその友達と本物の敵を得ることになる」項などは、社会に出てからの話が出てくるので別のストーリーがあったのだろう)
社会で、それなりに不合理な経験をしてきた人には、改めて、それでも勇気を持って人として正しく生きることの大切さを教えてくれるし、これから社会に出る人には、社会の不合理さについての覚悟を与えてくれる1冊である。
聖書を読んでいるような雰囲気があるので日本人にはちょっと「きれいごと」に聞こえるかもしれないが、嫌な現実に負けそうになったときに力を与えてくれる言葉になるだろう。以下、10カ条を書きだしておく。
「逆説の10カ条」
- 人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。
- なにか良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
- 成功すれば、うその友達と本物の敵を得ることになる。それでもなお、成功しなさい。
- 今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
- 正直で率直なあり方は、あなたを無防備にするだろう。それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。
- 最大の考えをもった最も大きな男女は、最小の心をもった最も小さな男女によって撃ち落されるかもしれない。それでもなお、大きな考えを持ちなさい。
- 人は弱者をひいきにはするが、勝者の後ろにしかついていかない。それでもなお、弱者のために戦いなさい。
- 何年もかけて築いたものが、一夜にして崩れさるかもしれない。それでもなお、築きあげなさい。
- 人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。それでもなお、人を助けなさい。
- 世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。
原文が極東ブログさんで紹介されていました。
本日の1曲 U2「Freedom For My People」
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