Day44 高原ドライブ

いつものように8時前に宿を出てヒッチ開始。
しかし、この町、アリへ向かう道路がどこにあるのかよく分からない。とりあえず道路をゆっくり流しているトラックを停め行先を聞くと、ゲルツェだったので早速交渉して乗せてもらう。僕の後でもう1人漢族の男が乗ってきた。トラックは町の西へ広がる草原へ入っていく。すると、草原の中へと消えていく1本の道(というか轍)があった。なるほど、これがアリへ向かう道路だったか。

出発してすぐこのトラックが非常に「遅い」ことに気づく。キロポストと時計で時速を推計すると約20km/h。今日の行程は約250kmだから休みなく走り続けても12時間以上かかる計算だ。ツライ1日になりそうだと思ったが、9時過ぎまで明るいので宿探しは大丈夫だろう。この区間、交通量は少ないのでチャンスは逃すわけにいかないのだ。
今日は珍しく朝から[:晴れ:](といっても雲は多いが…)。青空の下、大草原をのんびり進むのもいいもんだ。2時間ほど進んだところで座席後ろの寝台で寝ていた少年(ドライバーの息子だろう)が起きてきて川沿いで停車し、洗車。目的地ははるか先だというのにマイペースだ。僕も荷台に載せたバックパックが心配だったので車を降りてロープを締め直す。

しばらくして再出発。なんと今度は少年(12歳くらいか)がハンドルを握ることになった。この子がこんな「大型」を転がすとは思わなかった。11時半頃昼食。ドライバー親子はチベタンなのでツァンパ、僕と漢族の男には自動的にカップラーメンが出てきた。一応、食堂と書いてある店に入ったのにカップラーメンしかないとは…ショック[:ショック:]
食後、さて出発と思ったら2人は車の修理を開始…また修理かぁ。もう何度目だろう。あきれつつも早く済んでくれることを祈るしかない。幸い1時間ちょっとで修理完了。もう1人の男は別のところへ向かうのか車に戻ってこなかった。
再び大草原の中をゆっくりと進む。峠へ上がっていくときは5km/hくらいしか出ず、予想到着時刻がどんどん遅くなっていく。さらに1時間ちょっと上っていくと雪山が見え出し、ますます雄大な風景になっていく。高原から下り始めたとき、横転したトラックが目に入った。ドライバーはそのトラックの人たちと知り合いだったのか、横転したトラックにワイヤーをかけてもう1台のダンプと一緒に引っ張りあげようとする。何度かトライしたがダメ。まずは荷物を降ろして軽くしようということになったようで、皆で荷降ろしを始める。その荷物というのは

ブタ40頭[:びっくり:]

ブタ1頭で100kgくらいあるだろうか。40頭で4t、そりゃ重いはずだ。柵を外し、ブタを外へ引っ張り出す作業をする。可愛そうだが半分以上のブタは既に息絶えていて、それらを引っ張り出すのが大変だった。猪突猛進というが、本当にブタという動物は(前に囲いがあっても)前にしか進むことしか考えられないらしく、方向転換させて追い出すのが一苦労だ。どうしても外へ出せない10頭ほどを残して再びトラックを起こそうとワイヤーで引っ張るがやはり動かない。
結局、あきらめて僕らのトラックに1人応援を呼ぶために乗せて出発することになった。トラックにブタ、救援費用と顔面蒼白になりそうな損害だと思うのだが乗ってきたおっちゃんはやたら陽気な人だった。保険がおりるようなことは言っていたが、それにしても…こんな状況下でどうして楽しそうにしゃべれるのだろう。チベタンは深刻さとは無縁な人種なのだろうか???
出発したのは5時近くになっていた。下り気味に2時間半ほど進んだところに道班があり、ここでおっちゃんは(援助を呼ぶためか)降りていった。ここまで午後になっても20分くらい天気雨が降っただけで晴天が続いている。珍しいことだ。途中、腹だけが白い茶色の野生馬を何度か見かけた。8時頃道班を出発。少し暗くなってきて風が強くなった。いつもの雨の気配。数分後、やはり降りだした。バックパックを荷台に積んでいるので雨は降ってほしくなかったのだが…祈りが通じたのか雨はすぐやんで、僕らの背後には大きな虹が出た。中国語で虹は「天空橋」というのだそうだ。なかなか洒落たネーミングだ。さらにしばらく行くと今度は夕焼け。そして、空が醒めていくように青白い空間が現れる。僕はこの夕焼けと闇の間に現れる十数分の白く冷たい空を見るのが好きなのだ[:楽しい:]

旅をしていると、ここぞというときに素晴らしい天気になって忘れられないような景色を見せてくれる日がごくたまにあって、僕は勝手にそれを”The Gift”と呼んでいる。今日の天気もまさに”The Gift(天からの贈り物)”だった[::]

暗くなり始めた頃、再び少年ドライバーに交代。オヤジはビールを飲んで寝台でくつろぐ。もともと草原の中の轍みたいな道なので暗くなると正しい道を探すのが大変だ。気の毒な少年は何度か車を降りて懐中電灯で道を見に行かなければならなかった。暗くなって寝たいところだがあまりに道がひどく車が跳ねるのでなかなか眠れない。10時過ぎ、目的地ゲルツェまで90kmの標識が見えた。あと4〜5時間か…11時過ぎ、ドライバー達は食事休憩。僕は車内で寝て待つ。食事から帰ってきて、再びオヤジドライバーに交代してゲルツェへ向かう。3時半、ようやく町の入口というところで車は停車。どうやらここで夜を明かすらしい。こんな時間に宿を探すよりそのほうがいいだろう、と眠る。
が、1時間ほどして、またオヤジが起きだして車を再出発させゲルツェの町に入っていった。何だろう、寒かったのだろうか。8時に乗車して、ここまで19時間、さすがに疲れた[:ぶー:]

今日の移動距離…250km
今日の待ち時間…15分
今日の乗車時間…19時間

本日の1曲 David Lee Roth「Goin’ Crazy」

Comments