Day181 新年早々 テント村休業!?

この話は1月1日に起きた事件ですが、おめでたくもない事件なので翌日分としてまとめて報告します。

1月1日

昨夜は大晦日ということで数年ぶりに紅白歌合戦を見てその後も遅くまで起きていたため、朝は少し遅め。駐在スタッフの話では学校の授業も行われていないというので、パキスタンとは思えない正月料理をいただいてからお昼近くになってテント村へ出勤。
昨日配布した入居者宛運営要領にサインすることついて住民が揉めており、今日はヌーリ村のリーダー格であるオヤジがバラコットから来て話合い行うことになっていた。

問題になっているのは
入居者に対して供給された備品(テントを含む)は全て貸与であり、NWAは入居者に対し退去時に返却を求める権利を有します。
という一文で、住民は与えられたモノは全て自分たちの所有物になると思い込んでいたらしい。管理者側としては期日末まで所有権を保持するのは当然のことだと思うのだが…

NWAテント村に全く姿を現さない登録だけの家族がいることから彼らの多くが被災者キャンプの二股をかけ、それぞれのキャンプで支援物資をキープしようとしていることは分かっていたが、今回の反応で自分たちの予想以上に住民は「モノ」をもらうことに執着していることが浮き彫りになった[:冷や汗:]

午後、そのオヤジが到着し話合いが持たれたが、(売り言葉に買い言葉の側面もあるが)相手側の言い分は信じられないものだった。

彼が話したことを箇条書きすると

・モノをもらえる約束ができないなら村人全員出て行く
・自分たちはもともとバラコットの被災者キャンプで平和に暮らしていたが、あなた達が来てほしいというから来てやったのだ
・ローカルスタッフの態度が許しがたい
・出て行くにあたって交通費は出してもらえるか

といったことだった。

彼らに感謝されてるとは思っていなかったが、こんな風に思われていたとは…悲しかった[:悲しい:]

今までほとんどこのテント村にいることのなかったオヤジが言うのだから別の人間に吹き込まれているのは間違いないのだが、これが本当に村人の総意とは思えない。自分たち一族の面子にこだわって、子供たちや他の貧乏な家族のことなど全く考えずにエゴむき出しの発言をするこの家族には本当に失望した。
さて、我々の対応はというと、支援を必要としてない被災者にお金をつぎ込む必要はないし、被災者とはいえ自分たちの決めたルールに従えないと宣言する人たちに留まってほしいとも思わないので、はっきりと「では出て行ってください。お金は出しませんが、すぐに追い出すようなこともしません。」と答える。

もともと僕らは彼らとネゴシエーションをするつもりはない。(日本的かもしれないが)自分たちのルールに従わない人を受け入れる必要はないのだ。被災者はたくさんいるし、今までヌーリ村住民の意思を尊重してカシミーリを入れなかっただけで彼らがいなくなったらその枠を外して新たに住民を募ればいいだけのことだ。
オフィスに戻ってスタッフ一同で今後の対応を検討し、ルールの変更は行わず従わない家族は今後も受け入れない方針を確認、また今後はカシミーリの被災者も受け入れていくことにした。
またも支援とは難しいものだと実感。気分の悪い2006年のスタートとなった。

1月2日
僕は明日からずっと延期していたイラン〜トルコ〜シリアの旅に出るので、朝はラワールピンディの鉄道駅に向かいクエッタ行列車の寝台予約を頼むも

もう寝台は空いてません

との返事!

結局、クエッタまで明日午後の飛行機で行くことになった。その際、オフィスに電話を入れたら

住民がサインをすることになった[:拍手:]

との情報が入る。これも予想はしていたことだが、あそこまで言っていた人間が手のひらを返したようにOKするとは…恥もなければ意地もない連中だなと思わずにはいられない。もっとも、子供たちや貧乏な家族にとっては一安心の結果だと思う。
個人的には昨日「来てやった」「スタッフが許しがたい」などと発言した家族にはこれ以上の支援をしたくもないので出て行ってほしいところだが、それを言い出すとまた村全体が出て行く騒ぎになってしまうかもしれない。

ピンディからテント村へ直行。午前中に以前から入れてくれと頼まれていたカシミーリ家族が入っていた。ほとんど一つの村民からなる被災者キャンプは意思の伝達をしやすいという利点もあるが、今回のようにロビーができて団体交渉というプレッシャーをかけてくるという問題点もある。今後はいろんなところから被災者を受け入れ、多様性のあるテント村にしていこう。もっとも、これはこれでいろんな問題が起こってくるとは思うが…
さて、いつものように各テントの様子を見ながら歩くが、さすがに住民の態度はよそよそしく(雨がちだったこともあり)ほとんどテントの中に入っている。いつの間にか昨日のオヤジはまた村へ戻ったようだ。
なんとなくギクシャクとした空気のまま夕方まで滞在し、明日住民がサインをしに来るということになったのでオフィスに戻って、管理人仕事の引継ぎをしたり、旅の準備をしたりして過ごす。部屋に置いていたガイドブックが入ったビニール袋がゴミと間違えられ捨てられていたことに気づく。ちょっとショック[:しょんぼり:]

本日の1曲 The Bangles「Hazy Shade of Winter」

↓三輪車を押して遊ぶ子供たち

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