Day308 アイベックスに遭遇

今日はラダック最大のゴンパであるヘミス・ゴンパへ行ってから4日ぶりにレーに戻る予定。カルーへ下るバスは7時から8時頃に数本あるというので7時前に起床。もう家族はみな起きていてオヤジは畑仕事、娘たちは掃除をしていた。水をもらって洗顔、歯磨きを済ませると、娘がキッチンへ招き入れチャイを入れてくれた。続いておばさんがオムレツとローカルブレッドの朝食を作ってくれた。ありがたい[:モグモグ:]
7時半頃オヤジに「バスを待つからこれから出る」と告げ、150Rsを渡す。札2枚を握らせたら、いくらだ?と聞かれたのにちょっと困惑。100Rsだったら少ないと言われていたかもしれない。
7時50分、バスが来て昨日1時間半かけて上がってきた道を客を拾いながらゆっくり下っていく。8時半頃カルーに到着、商店のおばちゃんにヘミス行バスは何時に来るか?と聞くと「来ないよ」とあっさり言われたので、昨日に引き続き坂道歩き決定。そうと決まれば、あとはひたすら進むのみ。橋を渡って舗装道路をしばらく上がるが、道路はカーブの連続でショートカットできそうなので踏跡を探しながら歩く。予想通り、ほぼ直線的に上がるショートカットがあり、これを辿っていく。昨日の疲労が残っているようでちょっと足取りが重い。30分ほど歩いたところでチョルテン群が近づいてきたので休憩。ここには長大なマニ壇があり、あまりに長いので途中2箇所ほど壊して道路を通してある。1時間ほどでヘミスの集落に入るがまだゴンパは見えない。さらに500mくらい進んでようやくゴンパへの道に入る。このゴンパは大きいのだが、よくある「山上要塞型」ではなく谷の目立たないところにある。幅は広いのだが、立体的でないのであまり迫力は感じない。他には訪問者はいないようだ。ラダックに来てこのゴンパに行かない者はないというくらい有名なところなので誰もいないというのは非常にラッキーだ[:イヒヒ:]
さっそく見学開始、広い中庭に面してドゥカンが2つ並ぶという珍しい構造になっている。荷物を下ろし、開いている(右側の)ドゥカン・チェンモから入ろうと思ったら、チケット売りのラマがやってきた。拝観料30Rsと今まで訪れたゴンパの中でいちばん高い。小さいお金がなかったので500Rs札を渡したら、ラマがポケットの札束から470Rsをしれっと返してきたのには驚いた。さすがに訪問者の多い金持ちゴンパだ[:ノーノー:]
このラマが2階のグル・ラカンを開けてくれるというのでこちらを先に見学し、それから1階のドゥカンを見学。もう1つのドゥカンは別の鍵番ラマが開けてくれた。ガイドブックには「いつ行っても旅行者だらけで霊気を感じないゴンパ」と評されていたが、1人で見られたせいかチベットのデプンなどの大きなゴンパのような落ち着いたドゥカンの雰囲気があって悪くなかった。それから屋上などをぶらぶらして他に開いているお堂がないか探したが、みな閉まっていたのでさっきのラマを呼んで「ラカン・ニンパ」を開けてもらう。30Rsの拝観料を払ってお布施も置いているのだから、1つくらい余分に開けてもらってもいいだろう。ラマは(意外と)快く開けてくれ、壁画の解説もしてくれた。以上でヘミス・ゴンパ見学終了、さらに2km谷をつめたところにあるゴツァン・ゴンパへ向かおうとしたところ、チケットラマがお茶に誘ってくれたので、チャイと揚げたてのプーリーをいただく。ラマに日曜は(礼拝などは)休みなのか?と聞くと、いつもと同じだという回答。幼少の時分で寺に入れられてからほとんど休みなく寺を出ることなく集団生活の中で家庭を持つこともなく一生を過ごすラマの人生は幸せなのだろうか?とふと考えた。
ヘミスから上は山道になり、車は入れない。この辺りの沢はまだ上のほうが凍っている。日照時間が短いのだろう。20分ほど上がったところでふと右の沢を見上げると何か動くものがあり、よく見るとアイベックス(岩羊?)の群れだった。食べたことはあるが(笑)、それと分かるような距離で見たのは初めてだ。せっかくの対面なので刺激して逃げられないよう注意しながら群れまでの距離をつめていく。ラダックでは狩猟が禁止されているのか、彼らはこちらを見ながらも逃げる様子はない。約15mまで近づいて見ることができ感激。大きな角を持つリーダーが僕をじっと見つめている。その姿には威厳を感じさせるものがあった。(気づいていて逃げない)彼らに信頼関係みたいなものを感じていたので、あまり近づいてぱっと逃げられるのはその信頼を損ねるように思えたのである程度のところでこちらから退くことにした。
さらに谷をつめて上がっていくが、踏跡はだんだん怪しくなり1時間近く歩いてもゴンパらしきものは見えない。ルートに自信がなかったので12時頃引き返す。さっきアイベックスに遭遇した谷まで戻ると、上にゴンパが見えた。下から上がってくると死角になって見えなかったのだ。ゴンパへはセメントの階段がついているのだから気がついてもよさそうなものだが、アイベックスに夢中で全く目に入っていなかった。目指すゴンパはまだはるか上だったが、せっかく見つけたのでもう一頑張りして行ってみることにする。階段を上がり終えると標高3800m超。ようやくゴツァン・ゴンパに着いた。さすがにもう疲労困憊だ。荷物を置いて一休みしているとラマが来て、またお茶を勧めてくれたのでキッチンでお茶とビスケットをいただく。これは本当にありがたかった。一休みしてドゥカンに行くと、先ほどのラマも入って勤行が行われていた。入ると座るよう勧められて端っこで見学。思った以上に長く1時間ほどお付き合い。あぐらでも足がしびれて辛かった。2時過ぎ、ようやくお勤めが終わるとラマと一緒に食事をいただく。食後、しばらくパキスタンのことなどについて質問を受けてから、石窟堂などこのゴンパにあるお堂を全て見せていただき、3時頃カルーへ向けて下りる。下りはショートカットも分かっているのでヘミスから45分でカルーに到着。もう4時20分で終バスが心配だ。今日は日曜だし、4時を過ぎると確実にバスがあるとはいえない。案の定、30分ほど待っても下りは来てもレーへ向かう上りバスは来ない。一緒にバスを待っていたオヤジは「バスはまだある」と言うのでそれを信じてさらに待つ。5時前、そのオヤジが乗合タクシーをつかまえ、一緒に乗るように言う。余分な金は使いたくなかったが、カルーに宿はなさそうだったのでもしバスが来なかったらまた面倒なことになると考え、同乗する。幸い思っていたより安い料金で済み、6時には宿に戻ることができた。今日はさすがに疲れ、バススタンドから上がってくる道でもう息が切れていた。充実した5日間のゴンパ巡りもこれにて終了。

本日の1曲 Smashing Pumpkins「Try Try Try」

↓アイベックス

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