またもリンクシェア・ジャパンのアフィリエイトイベントに当選し、JAL羽田空港見学会に参加してきました。イベントは2月16日に行われましたが、翌日から大阪出張に出てしまったりしてなかなかレポートを上げることができませんでした。スイマセン。
このイベントでは、今まで緊急脱出訓練や整備工場見学などさせていただきましたが、今回は羽田空港内のJALオペレーションセンターで実際の業務を見せてもらい、続いて空港内のダイヤモンド・プレミアラウンジ、サクララウンジの見学。最後に国内線ファーストクラスの食事をいただくという盛りだくさんの内容。そして、最後にはアッと驚きのお楽しみが待っていました。まずは、オペレーションセンター見学の内容をご紹介します。
羽田空港の出発ロビーで集合後、いったん外に出てJALオペレーションセンターへ移動します。イベント参加メンバーは約20名、だんだん見覚えのある顔が増えてきたような気がします(笑)。まずはJALスタッフの方々からスケジュールと注意事項のご説明を受けます。5人が1グループになって各部署を交代で見て回る仕組みになっていました。まさに大人の社会科見学。実際にお仕事中のところに入れていただくため、今までになく厳しくセキュリティパスの管理などについての注意を受けました。
集合場所の会議室は駐機スポットの目の前で、空港ならではの風景が間近で楽しめます。ちょうどランウェイに向かう機体があり、整備士は毎回シップを見送って、手を振ってお辞儀をしているんですよ、と説明を受けながらその様子を眺めていました。知りませんでした…今まで席を立ちやすいように通路側ばかり選んで座ってましたが、次回(実は明日JAL便で大阪に行くのですが)乗るときは窓側席で整備士さんに手を振り返してみることにします。ちなみに、国内線は7割方尾翼のペイントが「鶴丸」になっているのだそう。国内線は離着陸回数が多いため国際線より整備に入る頻度が高く、整備時に塗り替えが行われるために必然的に国内線の鶴丸率が高くなっていくということでした。
僕の入ったBチームは、まず航務部のOCC(オペレーションコントロールセンター)を訪問します。OCCの本部は天王洲の本社内にあり、空港内のセンターはSCC(ステーションコントロールセンター)と呼ばれます。羽田空港でJALに割り当てられている2~21番スポットの割当など、ここからコクピットへ指示することで羽田離発着JAL便の運航管理をしています。
現在、羽田空港では国内線193便、国際線13便のJAL便が運航しているのですが、この日は横風が強く、羽田沖のD滑走路とそれに平行しているB滑走路が閉鎖されておりA,C滑走路しか使えない状況でしたが、あまり慌しさは感じられませんでした。モニターでは、さまざまなレイヤーを切り替えて世界中の(もちろんズームすれば羽田近辺も)航空機の飛行状況や気象状況、揺れの情報などを確認することができます。ちなみに、一般のインターネット上でも飛行状況は、flightrader24というサイトで見ることができます。
正直なところ、僕には説明を伺いながらも管制官とコントロールセンターそれぞれの担当業務がいまいち理解できませんでした。コントロールセンターは直接管制官とやりとりをすることはなく、それぞれがコクピットと無線で連絡をするのだそうです。いろいろ伺いたいことはあったのですが、時間切れで次の部署へ移動します。
続いては、ロードコントロール(Load Control)です。ここの業務はLoad Plan(搭載量の管理)とWeight&Balance(略称ウエバラ…重心位置の決定)の2つに大別されます。航空機の貨物室は主翼を挟んで前後2つに分かれており、コンテナ以外にバルクと呼ばれるスペースがあり、ペットであったり、搭乗が遅れていて場合によっては出発前に荷物を降ろさなければならないケースで使用されるのだそう。そもそも、チェックインした荷物が乗客が間に合わなかった場合、機体から降ろされるなんてこと知りませんでした。冷静にテロ対策として考えれば当然なんですが、よく間に合うもんだと感心します。
現在では、ほとんどの計算はコンピューターが行って、条件を入力していけばプリントアウトされるようですが、トラブル時のために各機種毎の手書き図も用意されていました。ちなみに重心のバランスは、左右に差があっても操縦に影響を与えることはなく、前後だけ考えればよいのだそうです。現在はWebでチケット予約時に座席指定ができるので、乗客が少なく、みんな前のから指定した場合はどうなるんだろう???など、ここでも疑問はいろいろあったのですが、また時間切れで次の部署へ移動します。
続いては階を変えて、客室乗務員のブリーフィングルームへ。大勢のCAさんが島ごとに出発前のブリーフィングをしています。私服の方はマネージャーで、1人のマネージャーは20人の部下を管理するのだそうです。マネージャーも一定期間乗務しないとライセンスが失効するのでたまにアテンダント業務をします。
このスペースは、CAさん手書きの掲示物が多く、いかにも女性の職場だなぁという雰囲気です。ブリーフィングでは、毎回乗務する機体毎の安全ビデオを見ることから始まり、アロケーションチャート(機内の乗務員配置)確認、情報共有などを行います。国内線では1日数便に乗務し、最初のフライト後はテーブルを囲んでの打ち合わせをする時間はありません。そのため、ブリーフィングではその日に乗務する予定の全ての便について行われます。
こちらのスペースは勉強用です。壁には子どもが書いた御礼の絵や、新人CAさんの決意表明などが飾ってありました。ウチの子にもそのうち書かせてみようかな。
同じフロアにあるのがVステーション。VはVoiceのVです。ここはCAさんの情報収集スペースで、アドバイスをする専任の方もいらっしゃいます。機内販売の新商品や機内食の新メニューなど必要な情報はここで確認します。チェブラーシカもいました。
そして、また先ほどのフロアに戻って、キャプテンとコ・パイ(副操縦士)がフライトプランについてブリーフィングを行うディスパッチ・ルームへ。ここでは、デモンストレーションとして、実際の羽田-伊丹便のディスパッチ・ブリーフィングの様子を再現してくださいました。ディスパッチ・ブリーフィングはフライトの80分前からスタートし、CAさん同様、最初のフライト後はデータを見ながらのブリーフィングをする時間はとれないため、その日のすべてのフライトについて、ダイバート(代替着陸)時のオルタネートとなるいくつかの空港付近の気象状況なども頭に入れておきます。見ていて大変だなぁと思ったのが、単位がノットやフィートであったり、時間がグリニッジ標準時であったりすること。長年乗っていれば苦もなく換算できるのでしょうが、初めて見る僕らには、風速◯ノットが強いのかたいしたことないのかもよく分かりません。
ディスパッチ・ブリーフィングでは、乗客数、スポット、使用滑走路、気象状況などの情報を確認しますが、大切なのは、提供される気象条件と自身の経験を照らしあわせ、機を預かる責任者としてフライトプランで算出された燃料が十分であるかを判断することだそうです。コンピューターが弾き出した予定の燃料では不安な場合は機長が追加を要請します。また、天気図や刻々と入ってくる揺れ(TB:タービュランス)の情報も頭に入れ、どれくらいの高度を飛べば揺れの少ない快適なフライトになるかを考えます。ちなみにTBはJAL-ANAで情報を共有しており、TB4以上は全航空会社で情報を共有してるそうです。コンピューターがほとんどのことを制御できる現代でも、離着陸では機長が握る操縦桿が全てをコントロールします。
↑アルコールチェックの機械
オペレーションセンター最後の見学は、旅客部のコントロール部門です。グランドスタッフ(地上職)と呼ばれる方々はJALスカイというグループ会社の所属で、羽田では約600名が勤務し、早番、遅番、休みのシフトで頑張っています。各フライトごとにチェックインからボーディング(搭乗)までの情報は共有管理されており、出発時刻まであと◯分の状況で△さんはラウンジにいて、□さんはタッチ&ゴーで保安検査場を抜けているといった状況が画面に表示され、刻一刻と変化していきます。
定時運航をするために現場やコントロール部門がこれらの情報を逐一チェックしてファイナルコールをしたり、ゲートの担当者を走らせたりするわけです。また、前述のとおり、乗客が搭乗しないのにチェックインした荷物だけが機内に残されて離陸することはないので、ノーショウの場合はギリギリのタイミングで荷物の取り下ろしを指示します。1分でもディレイとなった場合はログを解析し、原因や責任の究明をしているそうです。
こういった精密なシステム自体に驚くとともに、このシステムを構築した目的は、定時運航を守りつつ、乗客には可能な限りムダな時間を空港で過ごさせないようにしたい、という意識の結晶なのだろうと感じました。ただ遅れさせないだけなら、早く空港に来させて早くから搭乗アナウンスをしたり、現れなかった乗客を置いていくという選択肢もある中で、JALは乗客の利便性を重視してこうしたシステムを整備していったのでしょう。
コメント
「早く空港に来させて早くから搭乗アナウンスをしたり、現れなかった乗客を置いていく」それを実際にやることによって、機材の運用を極限まで効率化し、運航コストを削減(し、安い公示運賃を実現)するのがLCCのビジネスモデルですよね。「乗客には可能な限りムダな時間を空港で過ごさせないように」という着目点は、JALに限らず、あらゆるフルサービスキャリアにとって、LCCと差別化を図る上で重要な事柄と思います。