【読書メモ】英語は1年でマスターできる(三木雄信著 PHP出版)

元ソフトバンク社長室長の著者が孫正義社長の下で激務をこなしつつ、国際ビジネスの場で英語を操れるようになるまでになった経験から1年間でビジネス英語をマスターするためのメソッドを書いた1冊。徹底的に合理的なので時間のないビジネスマンで絶対に英語ができないとマズいという方には必読と言えるでしょう。

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ただし、1年でマスターできるというタイトルですが、自然体で1年で英語が喋れるようになるという都合のいい話ではありません。1日平均3時間は英語の学習にあて、それなりの頻度で英会話学校にも通ってネイティブ講師にも指導を受ける前提での1年という期間です。

本書でも1番初めに書いてあることですが、結局のところ「何のために英語を勉強するのか?」が曖昧だと成果は期待できません。目的を明確にし、どういう英語を身につけたいのかがハッキリして初めて英語学習の戦略を立てることができるわけです。本書で著者がめざしたのは、「外国人と英語でビジネスの交渉ができるようになる」というレベルで、このために立てた戦略が、リスニングとスピーキングに絞って学習するというもので、著者の戦略はドンピシャだったと思います。

以下、本書で覚えておきたい部分を抜書きします。

・ビジネス英語は、交渉のテーマから大きく外れた話は出ないので日常会話より勉強が簡単。

・使える英語にならないのはアウトプットができないから。英語のアウトプットは、頭のなかにある英語を素早く組み合わせて外へ出すこと。日本人の英語学習者の多くはインプット過多でアウトプット不足になっている。
→これはまさにその通りだと思います。後で考えるとこんな簡単なフレーズがなんでその場で出てこなかったんだろう?と思う場面はしょっちゅうありますが、結局のところアウトプットの訓練が不足しているから実際の会話で言いたいことが言えないんですね。

・学習する期間は1年、長くても1年半にする。日本人が英語をマスターするために必要と思われる時間は約2200時間。そのうち半分は学生時代にやっているので残りは1000時間。その1000時間を300~400日で集中学習する。

・単語、イディオムは覚えない。言い回しは、丁寧なもの1つだけ覚えればよい。文法にも時間をかけず、発音はあきらめる。→洗練された英語を話せるようになるのが目的でなく、ビジネスで必要な英語をマスターするという目的に照らして合理的な学習をするためには「捨てる」部分を明確にしなければなりません。

・学習したことを翌日復習するサイクルを回していく。土曜日はその補完にあて、日曜日は休養にあてる。

・リスニングは、聞き流すのではなくテキストとにらめっこして音とスペルを脳が紐づけられるようにする。日本人の問題は、1.子音が聞き取れない、 2.英語のリズムをつかめないことの2点。音声を聞いて、テキストを見て正しく聞き取れているかを確認するプロセスが必要。→これは目鱗でした。テキストを見るのはある程度聞き取れてからと書いている本が多いように思っていましたが、単語をある程度知っている社会人なら、早い段階で音を聞いて「なんと言ってるか」を理解させ、脳に覚えこませる方が合理的でしょう。

・リスニング教材は1つで十分。オススメは好きな映画でシチュエーションが近いもの。スピードは落とさず聞いて、シャドーイングすることでリズムを体で覚える。

・スピーキングも教本は1冊でOK。発音は捨てて、発声+リズムに集中する。発声の際は、1.声を意識的に低くする、2.喉の奥を震わせて話すようにする。→これも納得です。siriの設定を英語にして話すと自分の英語をネイティブが理解できるかどうかの参考になりますが、圧倒的に発音よりもリズムが重視されています。

・ライティングは学習せず、テンプレートを使う「英借文」で済ませ、添削はGingerにまかせてしまう。

・リーディングは機械翻訳で概要をつかみ、必要なところだけを精読すれば十分。

・冒頭で言いたいことを言ってしまう。結論ファーストの習慣を日本語で話すときからつけておく。孫正義氏はミーティングの冒頭で「言いたいことは10秒で話せ」と言うそうです。

まとめ

テキストを見て行うリスニング学習法やスピーキングの際、発音は気にせず発声とリズムに集中するといったメソッドは、一般的な「英語の先生」が書いた本とは一線を画するものですが、僕自身も著者のやり方が効果が高いように思います。すぐに英語を必要としている人にはぜひ、そうでない人は、自分は英語を学習する必要があるのかを改めて考える意味で一読をオススメします。

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