【読書メモ】「働き方」「心」稲盛和夫著

京セラの創業者でJALを再生させた昭和~平成を代表する日本の経営者である稲盛和夫氏の著作を改めて読んでみました。「働き方」は2009年の著作で、「心」は10年後の2019年に出版されています。もう1冊「生き方」という本が2004年に刊行されており、稲盛氏の経営哲学三部作といえるものです。

Wikipediaを読んで驚いたのが、著作の販売数が世界で1000万部を超えていて、うち日本が490万部、世界の売上の9割以上は中国という行です。世界での売上の方が多いということ、またそのほとんどが中国というのは意外でした。中国にも稲盛氏の考えを実践している経営者がたくさんいるのでしょう。

「働き方」は、ご自身のことを振り返って仕事への向き合い方が昭和の時代と大きく異なる現代の若い人たちに向けて書かれた本です。一方、「心」はそのタイトル通り、成功と心のあり方の関係にフォーカスしたもので、著者が無名の人だったらスピリチュアル系の書棚に置かれるのではないかと思われる1冊です。

稲盛氏は京セラ、第二電電の経営から引退した後、出家され1997年に得度されている方なので著書にも仏教を背景とした部分がたくさんあります。氏の経営哲学は王道といえるもので技術ではなく、成功は心の持ち方と愚直な行動によってこそなし得る。それを簡潔に現したのが有名な“人生・仕事の結果=能力×熱意×考え方“という方程式?です。

覚えておきたいところをメモしておきます。まずは「働き方」から。

  • 仕事を好きになろうと努める「心の持ち方」を変える。目の前の仕事に全力を注いでみる。天職は出会うものではなく自ら作り出すもの。
  • 仕事の中にささやかな喜びを感じ、感動する心を持って素直に生きる。その感動から湧き上がってくるエネルギーを糧にさらに懸命に働くことが長丁場の人生を強く生きていく最良の方法。
  • 物質には「可燃性」「不燃性」「自燃性」の3つがある。何かを成し遂げるのは自分から燃え上がる「自燃性」の人。不燃性の人を採用してはいけない。
  • 「できればいいなぁ」という程度の願望では、高い目標や夢は成就しない。本気であれば、できるようにするための具体的な方策を必死で考える。そこまで思わなければ何も実現しない。
  • 今日1日を「生きる単位」として、その日1日を精一杯に生き、懸命に働くことを繰り返せば当初想像もしなかった地点まで進んでいくことができる。
  • 日々真剣勝負で完璧を目指す「完璧主義」を貫く。100%の力を注ぎ続けることで成長発展が可能になる。
  • 完璧主義を貫くためには「感度を研ぎ澄ます」ことが必要。感度が低いと異常や問題が発する声を聞き逃す。机の上にモノが揃えられずに置いてあることに違和感を感じられるか?
  • 「創造」は専門家ではなく素人が成し遂げるもの。自由な発想と強烈な願望が創造を生み出す。
  • 人生・仕事の結果=能力×熱意×考え方 考え方だけがマイナスもある。マイナスの考え方を改めない限り幸せな人生を送ることはできない。

続いて「心」から。

  • 人生で起こってくるあらゆる出来事は、自らの心が引き寄せたものです。心が描いたものを忠実に再現しています。したがって、心に何を描くのか。どんな思いを持ち、どんな姿勢で生きるのか。それこそが人生を決めるもっとも大切なファクターとなる。
  • 「利他」を動機として始めた行為は、そうでないものより成功する確率が高く、ときに予想をはるかに超えためざましい成果を生み出してくれます。
  • 人の心のもっとも深いところにある「真我」にまで到達すると、万物の根源とも言える宇宙の心と同じところに行き着く。宇宙の心とは、宇宙を形作ってきた「大いなる意思」で、宇宙にはすべてのものを幸せに導き、とどまることなく成長発展させようとする意思が働いています。
  • 心で思ったことが「業」すなわち「原因」となってそれが「現実」という「結果」を作っていく。そして、業を作るのは思念だけではなく、行動もまた業を作り、現象として現れます。災難がやってきた時の心のありようによってさらなる災難を呼び込むことになりかねない。そうならないために災難を喜んで受け止める、感謝することが大切。
  • 「人の心」をベースに経営する。それぞれが勝手な考え方や価値観で仕事をしていては集団として何かを成し遂げることはできない。そのためには、リーダーがあらゆる機会をとらえて全身全霊、本気で自らの考えやめざすべき地平を部下たちに直接繰り返し語りかける必要がある。
  • 「本能」に基づく判断は損得が基準に、「感性」に基づく判断は好き嫌いが基準になる。「知性」は物事を決める力を持っていない。「魂」から判断することが善悪を基準としたものになり、天の道理にかなった判断となる。
  • どんな人であっても、与えられているのは今この瞬間という時間しかない。その今をどんな心で生きるかが人生を決めていく。今どんなにつらい境遇にあるとしてもそれにめげることなくただ前向きに歩んでいく。いかなる時も自分の心を美しく、純粋なものに保っておくことが大切。

正直なところ、100%精神論なので若い頃にこの本を読んでいたら、「きれいごと」という反発があってスッと入ってはいかなかったのではないかと思います。しかし、ある程度生きてきて、うまくいったことも失敗も重ねてくると、確かにそういうものかもしれないと思うことが多々あります。ぜひ、若い方にこそ素直な心で本書を読んで実践してほしいと願います。

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