本書を開くとまず「コミュニケーション能力の高い人は絶対に読まないでください」という一文が目に飛び込んできます。そして、その次には「この本は、弱者のための本です」。惹きつけられる書き出しですね。
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就活生向けに書かれた本ですが、転職などその他の面接でも役に立つ部分は多いでしょう。”内定獲得”という絶対目標を達成するためには、手段を選んではいられません。そこで、ウソをつけ、という釣り的なタイトルになるわけですが、ウソをつくといっても、自分の歴史について、「学生○○で日本チャンピオンになりました」みたいなウソを語れと言っているわけではなく、自己分析以上に相手の会社・面接官について分析し、合格点をもらえるように演技をしてみようという話です。
面接といっても、一方通行ではなくコミュニケーションの場であり、そうであれば当然「相手」が求めるものを与えられるかどうかが好印象の決め手となるわけです。今までの一般的な就活本で勧められるような徹底的な自己分析に基づいて自己PRを完成させて、10人中9人が言うような「アルバイトでは積極的に…を、サークルではサブリーダーとして、リーダーを支えながら、メンバーをまとめ…」的なPRでは、忙しい業務の間に人事に頼まれて面接に駆り出されてきた面接官には刺さりませんよ、というのは、面接官を経験した自分から見ても正しいと思います。
著者がいうように、簡単に内定が取れない学生は、ダメな自分をいくら自己分析したところでダメな自分が出てくるだけ…耳が痛い話ですが、実際大半の人はそうでしょう。それであれば、戦術として自己PRを前面に押し出すのは間違っているわけです。
以下、本書で覚えておきたいところをメモしておきます。
・面接は100m走、第一印象、相手に与える空気感が悪いとアウト
・マニュアルトークは自分中心の話、相手の立場を考えて話すべし
・話すことを決めてしまうと質問に対して答えになってないことを言ってしまう
・自己啓発はドーピング、長続きしない
・自分なりに「面接に通る人物像」を作り上げてそれを演じる、入室のノックを開演のブザーと思ってスイッチを入れる
・スピーチの達人は、スピーチの練習の達人である
・相手を不安にさせないために「言い切る」。~と思いますではなく、~と考えます
・面接官に質問することで信頼関係を築く
・心の中で思っていることは相手に見透かされる、本気でよいと思えることを探す
・「正しい」努力でなければ報われない
・ないものではなく、あるものに目を向けろ
本書のいちばんの薬効?は、自己分析を繰り返してもこれといったPRポイントが見つからずに八方塞がりに落ち込んでいる自分に、これなら自分でもできる、イケるかもしれないという希望を与えてくれることにあるように思います。面接を控えている方はぜひ一読をお勧めいたします。
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