アスリートフードマイスターである著者による「食欲」にフォーカスした食事と運動に関する書籍です。正常な食欲センサーが働いてさえいれば、人間は食べたいものを食べたいだけ食べても肥満になることはないという考え方が本書の根幹といえます。そして、多くの人の食欲センサーが曇っているのはストレスのせいであり、それは食事前の20分程度の運動によって正常な機能を取り戻す、と述べています。なるほど、と思うところですが、まだ著者のメソッドを実行していないので、これが有効かそうでないかの意見については控えておきます。
あなたは半年前に食べたものでできている | ||||
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読み終えて腑に落ちる部分が大半でしたが、少々残念なのが(科学者ではないので仕方がないのでしょうが)データに関する考察で「~と聞いたことがあります」「可能性があります」といった、弱気な雰囲気を感じられる部分があったことでした。また、カロリーバランスと肥満の相関について否定的な見解を見せつつ、「サラダを食べていれば太らないと思っている人が多いですが、ドレッシングやマヨネーズには油が多く含まれています」などというような記述は、やっぱりカロリーなんじゃないの?と思うところではありました。
以下、覚えておきたい部分の抜き書きです。
◆メタボの原因は「PFCのアンバランス」:
Protein(プロテイン)、Fat(脂肪)、Carbohydrates(炭水化物)の三大栄養素が不足していると身体が必要な栄養素を欲して食欲が出るのが正常だが、センサーが曇っているために「とにかく食べたい」と反応する。
◆刺激の強い食べ物をもとめるのは身体ではなく(ストレス解消を図る)頭:
ストレス解消のために食べたくなるのは間違った食欲の働き。
◆全身の細胞は半年で入れ替わる=半年前に食べたもので身体ができている:
細胞を作る素は食べ物しかない。食べ物を変えることで身体が変わる。
◆野菜(に含まれるビタミンやミネラル)は潤滑油のような存在:
野菜はサポーターであって、他の栄養素と一緒に摂って初めて効力を発揮する。
◆食生活を変えようとするのではなく食欲センサーを磨く:
食前20分程度の運動によって身体の循環がよくなり、悪いものが排出され、センサーが磨かれる。運動後のクリアな体に正しい食事を2食続けて食べさせて感覚を覚えさせる。
◆正しい食事の基本は一汁三菜:
五大栄養素を全部とれるのが理想だが栄養価が分からなければおかずの色をカラフルにすることを考える。
◆食べ過ぎてしまったときは早めにバランスをとる:
偏った食事をしてしまったら、できれば48時間以内、ムリなら1週間といった単位でバランスを取り戻す。
◆元の形が見えるものを選ぶ:
形が変わっていない=加工過程が少ない。
◆サプリは考えて採る:
サプリに含まれる栄養素は通常の食事でとてもとれないボリュームのことがあり、かえってバランスを崩すリスクがある。
まとめ
本書の冒頭で現代人のカロリー摂取量はピークだった1975年と比較して2割近くも少なくなっているという統計が紹介されていました。それでも、メタボが社会問題になる現状はやはり「ストレス食い」の影響が大きいのではないでしょうか。本書をきっかけに健康で長生きできる身体を作るために毎日の食事についてもっと真剣に考えるべきだと再認識しました。
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