【読書メモ】米軍式 人を動かすマネジメント(田中靖浩著 日本経済新聞社)

モノが売れず、想定外のことが頻繁に起こる現代では、PDCA至上主義の日本の計画-管理型マネジメントがうまく働かなくなっています。本書では、計画型のマネジメントからOODA(Observe:観察→Orient:方向づけ→Decide:決心→Act:実行)をベースとした機動戦マネジメントの活用へシフトすること、それによってマイクロマネジメントから脱却し、現場に任せることで利益を上げることが提案されています。非常に納得感の高い本でした。

東芝の会計不正事件は、モノが売れない時代に前年の数字をベースとした無理な計画を策定し、計画完遂を部門に強要することで起こったものだと指摘し、管理型から自発的に動ける組織への変革が説かれています。「機動戦」は、湾岸戦争で多国籍軍が採った戦略で、「OODAループ」はアメリカのジョン・ボイド大佐が生み出したシステムなので、この経営スタイルはもともと軍隊からきたものです。

本書では、管理会計など経営スタイルの歴史的な経緯も示しながら、現代日本の多くの企業がうまくいってない原因の一つにPDCA型マネジメントがあり、その処方箋としてD-OODAを挙げています。DはDesign:リーダーが指針を示し、対話によって大筋をデザインする、ことを表します。

ポイント引用

以下、本書のエッセンスを抜書きします。

・市場環境が簡単に変化する「先が見えない」ところでは、未来を計画することは不可能である、という前提に立って考えなければならない。

・機動戦(Maneuver War)の原則: 1. 決まりきった型はない 2. 同じことは二度するな 過去の成功体験をベースとするのではなく観察から臨機応変な戦いをする

・ミッション・コマンドで、何のために戦うのか(Why)、どんな勝利を目指すのか(What)を示し、そのために何をすべきか(How)は部下が考えて動く

・クリティカル・インテリジェンス: 単なるインフォメーションではなく、判断と行動に結びつく情報(インテリジェンス)

・リッツ・カールトンのミスティーク(神秘性)は、「消極ミスを許さず、積極ミスは許す」方針で、自主的に動くイニシアティブを確保する

・リーン・スタートアップも、動きながら考える点でOODA的な手法

・仕事を捉える3つのレベル: 自分の儲け→顧客の幸せ→社会への貢献 右に行くほど高次で、社会への貢献はミッションになる「自分は商売を通じてどう世の中を変えるのか」

・起業の成功に欠かせないのは応援してくれるパートナーの存在、黙って準備をしていて、唐突に起業すると宣言してもうまくいかないもの

・標準化の限界から、「選択と分散」に向かう中で、「共感型リーダーシップ」がキーとなる

・数字と接客それぞれに最低限の標準だけを定め、ミッション・コマンドに従った臨機応変を認めることが機動戦経営の基本になる

・チャンスロスは数字に現れない

・オペレーショナル・デザイン: 指揮官が示した指針について幕僚との対話を通じ理解、共有し、目標・方法・資源・リスクの4つを分析・検討することで作戦の大筋を示す

まとめ

自分の実感としても、「任せる」ことは難しく、誰にでも任せられるわけではないので、OODA型のマネジメントは、軌道に乗るまでPDCA型よりも負荷が高いと思いますが、軌道に乗せることができれば自律型の組織ができ、環境の変化に応じて対応できる現場になるのではないでしょうか。

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