図書館で借りたのだが、読後、情報を見ると2003年の本だった。でも、古さは感じなかった。齋藤孝さんの著書を読むのは2冊目なのだが、(偶然か)2冊に共通しているのは、
著者のメッセージがアタマで明確にされる
ということ。他の著作はまだ読んでいないが、立ち読みで目次と1章だけ読んでもかなりの部分を吸収できるのではないかと推察する。
さて、この「質問力」では、コミュニケーション力=質問力と考え、レベルの高い質問をできるようになることは、自分の実力を相手に分からせることになるというのが、基本的な骨格である。
問題を作る側に立つとテストはあっけないほど簡単に解けてしまう、というのはまさにその通りで、回答する側よりも質問する側のほうが力量を必要とするものである。だから、質問力を磨くことは質の高い会話を可能にするわけである。
筆者の言うとおり、確かに日本人は、講演会などでグレードの低い質問をすることが多い。(特に年配者によく見られるが)自分の経験と知識を自慢話のように延々と話し、「それで、あなたは何を聞きたいの?」といいたくなるような質問は、その最たるものだ。
これはアイスブレーキングにもいいな、と思ったのが「質問力」ゲーム。詳細はコチラのサイトに書かれていたので省略。
さて、本書前半では、「質問力」について、いくつかのマトリックスを使って、どういうエリアに当てはまる質問が「いい質問」であるかについて考察する。
マトリックス1 斜めに相手の過去へ斬り込んでいき、表面につなげる
相手の経験世界に踏み込まなければ「対話」にならない。そりゃそうだ、自分の話だけしていたら独演会であって対話にならない。
マトリックス2 具体的かつ本質的な質問
抽象的な質問は、(相手次第というところもあるが)つまらない回答になりがちだ。どう答えていいかよく分からないから一般的な答えになってしまう。それは、質問者の責任であるということ。
マトリックス3 自分が聞きたい、かつ相手が話したい質問
自分は聞きたいが相手は答えたくないゾーン→子供ゾーン という命名はピッタリ。相手の頭を整理させるような質問が理想的なのである。
あと2つくらいマトリックスがあるが省略。第3章以降は、様々な対談集を題材に質問と回答について技術的な解説を加えている。宇多田ヒカルとダニエル・キイスの対談はオリジナルを聞いてみたいものだ。
本日の1曲 ベートーヴェン 「ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 「熱情」 」perfomed by 辻井伸行
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