【読書メモ】習慣の力(チャールズ・デュヒッグ著 講談社刊)

私たちの生活はすべて。習慣の集まりにすぎない」 ウィリアム・ジェームズ

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人間は様々な場面で自分の意志で「決定」をしていると思い込んでいますが、研究によると実際のところ行動の40%以上が「習慣」によるものだといわれます。本書は、タイトルのとおり、「習慣」の持つ強力な力について、科学的な研究事例を取り上げながら説明します。その観点は科学だけでなく、ビジネスや社会学的な面も多くあり、様々なシーンで役に立つはずです。

本書の一番のポイントは、「習慣は変えることが可能であり、現在、その方法は解明されている」ということです。付録には、習慣を変えるためのガイドがあり、これはチャレンジしてみる価値大でしょう。今年読んだ本で「使える」度の高さではベスト3に入ると思います。

以下、覚えておきたいところを抜き書きします。

・習慣で動いている間、脳の活動は低下している→習慣形成の理由は脳が楽をしようとするため
・しかし、脳のパワーが低下するタイミングによっては重大なことを見落としたりするリスクがある→習慣にはトリガー(引き金)がある
・習慣 3段階のループ: きっかけ→ルーチン→報酬 の繰り返し

・習慣は変えることはできるが、消すことはできない→だから、悪い習慣が一度身につくと、一度直しても何かのきっかけで復活してしまう
・習慣を変えるには きっかけと報酬は変えずにルーチンだけ入れ替える
・新しい習慣を身につけるために必要なモノ=信じる力 信じていないと、ストレスを受けた時に昔の習慣に戻ってしまう

・習慣は神経学的欲求を生み出す→きっかけを見ると脳が報酬を期待するようになる
・習慣を強力にする(長続きさせる)のは、きっかけと報酬ではなく、報酬への欲求

・ファブリーズのマーケティング 嫌な匂いを消すためのもの→何かをきれいにする楽しみの一部 に変えたことで香りを期待させる欲求を生み出させる ex. 歯磨きのミント、シャンプーの泡立ち

・キーストーン・ハビットがトリガーとなって、他の習慣にも影響を与える 「小さな勝利」の積み重ねが大きな成功の鍵となる 最終的に「新たな価値観が埋め込まれた文化を生み出す」ことになる

・意志力、セルフコントロールの高さは学業などの成績に大きな影響を与える
・意志力は無限ではなく消耗するが、トレーニングによって強化することも可能である ex.スターバックスの従業員トレーニングメソッド=いちばんつらいイベント(転換点)でどう対処すべきかを教える(自分でマニュアルの空白を埋める) ロールプレイングの繰り返しで無意識に対応できるようになる
・物事を自分でコントロールしているという感覚があると、意志力の消耗は少ない→意思決定の権限を持たせることにより仕事につぎ込めるエネルギーと集中力が大きく増大する

・組織内習慣の功罪 一触即発の一方的な停戦状態は有害な習慣であり、バランスのとれた平和を作り出すためには「誰が責任をとるのか」を明確にする必要がある
・ロンドン キングス・クロス駅の悲劇(1987年) 優れたリーダーは危機をチャンスに変える→組織内の習慣を作り変える

・社会的習慣の3段階
1. 友人など強い結びつきから運動が始まる
2. その運動がコミュニティの習慣となり、隣人など弱い結びつきの力によって拡大する(ピア・プレッシャー 集団の期待に沿う行動を取ろうとする社会習慣の力)
3. リーダーが参加者に対し、新たなアイデンティティや当事者意識を感じられるような新しい習慣を与える

・習慣の功罪 病的なギャンブラーは一般の人に比べ、ニアミス(もう少しで勝ちだった)のときに脳が活発に反応する→宝くじなど、ギャンブルの胴元は意識的にニアミスを多く入れている

◆付録 習慣を変えるためには
1. ルーチンを特定する: たいていの習慣はルーチンがはっきりしているのでここは簡単
2. 報酬を変えてみる: どんな欲求が特定の習慣を引き起こすのか突きとめるために報酬を変えてみる→報酬を変えた後に頭に浮かんだこと3つを書き出す→15分後 自分の欲求が残っているか自問する
3. きっかけを見つける: 何が習慣のスイッチを入れるのかを観察する チェックすべき以下のカテゴリ[ 所、時間、心理状態、自分以外の人物、直前の行動 に決まったパターンがないか調べてみる
4. 計画を立てる: 変えたい習慣に代わるルーチンを考え、計画的に動く→継続することで新しい習慣となる

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